> お知らせ > 10月はピンクリボン月間🎀|乳がん治療と妊孕性温存について知っておきたいこと

毎年10月は、乳がんの早期発見や正しい知識を広める「ピンクリボン月間」です🎀

乳がんについて考えるとき、検診や治療とあわせて知っておきたいことの一つに「妊孕性(にんようせい)」があります。乳がんは若い世代で診断されることもあり、治療を始める前に将来の妊娠や出産について考える必要が生じる場合があります。

今回は、乳がん治療と妊孕性の関係、将来の妊娠の可能性を残すための「妊孕性温存」について分かりやすく解説します。

 

妊孕性とは?

妊孕性とは、妊娠するための力のことです。女性では卵子や卵巣、子宮などの状態が関係し、男性では精子をつくる力などが関係します。

がんそのものや治療の内容によっては、生殖機能に影響が及び、将来妊娠する力が低下したり、妊娠を考えられる時期に影響したりすることがあります。影響の程度は、年齢、治療方法、薬剤の種類や量などによって異なります。

 

乳がん治療が妊娠・出産に影響することも

乳がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法などがあります。なかでも一部の抗がん剤は卵巣機能に影響を与える可能性があり、治療後に月経が止まったり、妊娠しにくくなったりすることがあります。

また、乳がんのタイプによってはホルモン療法を長期間行うことがあります。治療中は妊娠を避ける必要があるため、妊娠を希望する時期についても担当医と相談することが大切です。

ただし、すべての人に同じ影響が起こるわけではありません。将来子どもをもつことを希望している場合や、今は決められないものの可能性を残しておきたい場合は、治療開始前にその気持ちを担当医へ伝えましょう。

 

将来の可能性を残す「妊孕性温存」

妊孕性温存とは、がん治療によって生殖機能が低下する可能性がある場合に、治療前に卵子や胚(受精卵)、卵巣組織などを凍結保存し、将来の妊娠の可能性を残す方法です。

女性の主な選択肢には、次のようなものがあります。

主な妊孕性温存の方法

● 胚(受精卵)凍結:採取した卵子を精子と受精させ、できた胚を凍結保存する方法です。

● 未受精卵子凍結:採取した卵子を、受精させずに凍結保存する方法です。

● 卵巣組織凍結:手術で卵巣組織の一部を採取し、凍結保存する方法です。年齢や病状、治療開始までの期間などを踏まえて検討されます。

どの方法が適しているかは、病状、年齢、パートナーの有無、治療開始までの時間などによって異なります。また、妊孕性温存を行っても、将来の妊娠・出産が必ず実現するわけではありません。メリットだけでなく、身体的な負担、費用、治療への影響などについて十分な説明を受けたうえで検討することが大切です。

 

がん治療を始める前の相談が大切

妊孕性温存には、検査や採卵などのために一定の時間が必要となる場合があります。一方で、がんの状態によっては治療を急ぐ必要があります。そのため、がん治療を担当する医師と生殖医療を担当する医師が連携し、がん治療を優先しながら、妊孕性温存が可能かを検討します。

診断直後は、病気や治療のことで頭がいっぱいになり、将来の妊娠まで考えられないこともあるでしょう。それでも、少しでも気になる場合は「治療後に妊娠することはできますか」「妊孕性温存について説明を聞きたいです」と伝えてみてください。温存するかどうかをすぐに決められなくても、まず情報を得ることが大切です。

 

費用を助成する制度もあります

妊孕性温存療法や、凍結した卵子・胚などを用いた生殖補助医療は、原則として保険適用外です。ただし、がん治療によって妊孕性が低下する可能性があると認められる場合には、費用の一部について都道府県の助成を受けられることがあります。

対象となる年齢や治療、申請方法などの条件が設けられているため、担当医やお住まいの都道府県窓口へ確認しましょう。

 

一人で抱えず、相談できる場所を頼って

がん治療と将来の妊娠・出産を同時に考えることは、簡単ではありません。妊孕性温存を行うかどうかに、誰にでも当てはまる一つの正解があるわけではありません。

担当医や生殖医療の専門医のほか、全国のがん診療連携拠点病院などにある「がん相談支援センター」でも相談できます。患者本人だけでなく、ご家族も無料で利用できます。気持ちや情報を整理したいときにも、相談先の一つとして活用してみてください。

10月のピンクリボン月間を、自分の乳房の状態を意識するとともに、乳がん治療後の人生や妊娠・出産について知るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な情報の提供を目的としています。治療内容や妊孕性への影響は一人ひとり異なります。具体的な治療や妊孕性温存については、必ず担当医や生殖医療の専門医へご相談ください。

 

参考情報

・国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん」

・国立がん研究センター がん情報サービス「妊孕性(にんようせい)」

・厚生労働省「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」