> 不妊治療Q&A

保険診療を受けるに当たって

どの医療機関で保険診療を受けることができますか?

助成金の指定医療機関であれば保険診療の施設基準を満たす経過措置があります(令和4年9月30日まで) 。各医療機関が地方厚生局に届出を行うことになりますので、かかりつけの医療機関又はお近くの医療機関にご確認の上、受診してください。

保険診療を受ける際に必要な準備はありますか?

受診の際には、不妊治療の治療歴や受診した医療機関などの情報を医師等にお伝えください。また、できるだけ患者様とパートナー様のお二人で受診してください。

事実婚の場合も保険適用の対象ですか?

助成金と同様に対象となります。なお、受診の際に医療機関から、事実婚関係について確認されたり、書類を求められたりすることがあります。

初診で受診後すぐに保険での治療は可能ですか?

初診より保険適用での治療開始は基本的にはできません。まずは不妊症である原因検索として不妊スクリーニング検査(採血・卵管造影・通水等)を行い、不妊症という診断がついて初めて保険適用での不妊治療が開始可能です。ただし、不妊期間・年齢・他院での治療歴などを考慮してスクリーニング検査を行わず治療を開始する場合もあります。

治療内容など

AMHとは何ですか?

卵巣内に残っている卵子数を表しています。ただし決して卵子自体の老化を意味しているのではありません。

PGT-Aとは何ですか?

PGT-A(着床前診断)は出生前診断とは違い妊娠前に行う検査です。

胚には極めて高い確率で、染色体数的異常が発生しており、
このような胚は移植しても着床しないか、初期で流産してしまいます。

通常は、1から22番までの常染色体が一対44本と、性別を決める性染色体が一対2本の計46本が正常胚となります。 ですが、その染色体数に過不足のある異数性胚はうまく成長出来ず、着床しなかったり流産を引き起こしたりするのです。

そこで、体外で受精させた胚が分割し胚盤胞にまで進んだ時に、その染色体や遺伝子の検査を行い胚の評価をします。

しかし誰もが受けられるわけではなく、日本産科婦人科学会の認可を受けた限られた施設で、倫理委員会での承認を受けた場合のみ行なわれます。

どうして受精卵を沢山戻しちゃいけないのですか?

胎児が1人のことを「単胎」、双子や三つ子を「多胎」と言いますが、多胎児の7割強が低出生体重児でリスクは単胎児の10倍、死産率・周産期死亡率・乳児死亡率も単胎児の2~5倍あります。
妊娠の可能性は増やしたいところですが、多胎の危険性も十二分に考慮する必要があります。
そのため、現在日本産科婦人科学会では戻す受精卵の数を1度に1個か2個までと決めており、2個戻せる条件として年齢や過去の移植の治療結果など細かく規定されています。

タバコとお酒はやめた方がいいですか?

タバコは女性だけでなく男性不妊症とも関連性が深く、受動喫煙でも精子数の減少やED(勃起障害)などの悪影響が指摘されています。お酒は、ほどほどでしたら男女ともに問題はありません。

不妊治療で使用される薬に副作用はありますか?

お薬を使う場合は主に排卵誘発剤を使用するケースです。排卵誘発剤の副作用は主に多胎や卵巣の腫れなどが挙げられます。

両方とも発生頻度はとても少ないです。

不妊症の検査や治療は痛みを伴いますか?

不妊症の検査や治療には様々なものがあります。精液検査や超音波検査、人工授精のようにほとんど痛みのないものから、子宮卵管造影や通気、通水のように多少の痛みを伴うもの、体外受精の採卵のように麻酔を必要とするものもあります。

人工授精(AIH)とは何ですか?

本来膣内に射精される精子を採取して、人工的に子宮に注入し体内受精を促す方法を人工授精といいます。

体外受精で男女の産み分けはできますか?

できません。

体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)とは何ですか?

体外受精と顕微授精は本来体の中で起こる受精現象を、人工的に体外で起こさせるものです。
人工授精までは、精子と卵子の出会いを助けるだけですが、体外受精と顕微授精は卵子と精子を取り出して人工的に受精しやすい環境を提供し、できた受精卵を確実に体内に戻します。
一般に体外受精とは、採ってきた卵に精子をふりかけて、精子が自然と入っていくのを待ちます。そして受精卵ができて順調に成長したら、子宮に戻す手法です。
顕微授精も正確には体外受精の一手法ですが、その違いは受精のさせ方です。
顕微授精は、顕微鏡下で1つの卵の中に1精子を注入し、受精卵が出来た後は体外受精と同様に培養して子宮に戻します。

先進医療を受ける際には、何か手続が必要ですか?

治療内容や費用について同意が必要になりますが、それ以外に患者側に特段の手続はありません。なお、先進医療は、医療機関ごとに実施可能な内容が異なりますので、具体的には、受診される医療機関とよくご相談ください。

保険適用前から不妊治療をされている場合

保険適用で実施できる胚移植の回数は、過去の治療実績が含まれますか?

保険診療における胚移植の回数制限は、保険診療下で行った胚移植の回数のみをカウントしますので、過去の治療実績や助成金利用実績は加味されません。

保険適用前に不妊治療で凍結保存した胚は、保険適用後も使えますか?

助成金の指定医療機関や学会の登録施設で作成・凍結された胚は、基本的に保険診療でも使用可能です。具体的には、受診される医療機関とよくご相談ください。

助成金を回数限度まで受給しても、4月からの保険診療は受けられますか?

保険診療を受けることができます。助成制度と保険適用は別の制度として、助成金受給状況が不妊治療保険適用には影響しないこととなっております。

年齢制限・回数制限の経過措置

4月に40歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず40歳未満で受診できなかった場合には、回数制限の上限は通算3回となってしまうのでしょうか?

施行当初は医療機関側の準備が整っていないことも想定されるため、令和4年4月2日から同年9月30日までの間に40歳の誕生日を迎える方については、40歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、回数制限の上限は通算6回となります。

4月に43歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず43歳未満で受診できなかった場合には、もう保険診療を受けることはできないのでしょうか?

施行当初は医療機関側の準備が整っていないことも想定されるため、令和4年4月2日から同年9月30日までの間に43歳の誕生日を迎える方については、43歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、1回の治療(採卵~胚移植までの一連の治療)に限り保険診療を受けることが可能です。