【コラム】「不妊症」と「不育症」の違いは?
はじめに
●妊娠を希望しているけれど、なかなか妊娠しない
●妊娠はするものの、流産を繰り返している
どちらも妊娠・出産に関する悩みですが、「不妊症」と「不育症」では、抱えている問題や受ける検査が異なります。
言葉は似ていますが、不妊症は主に「妊娠の成立」、不育症は主に「妊娠の継続」に関係するものです。
今回は、不妊症と不育症の違いやそれぞれの検査、医療機関への受診を考えるタイミングについて解説します。
不妊症とは
不妊症とは、妊娠を希望して避妊せずに性生活を送っているにもかかわらず、1年以上妊娠しない状態をいいます。
ただし、1年経過するまで必ず待たなければならないわけではありません。
月経不順や無月経がある、子宮内膜症などの婦人科疾患を指摘されたことがある、男性側の精液所見に不安があるなど、妊娠しにくい原因が考えられる場合には、早めに検査や治療を始めることがあります。
また、妊娠のしやすさは年齢によっても変化するため、年齢に不安がある場合も、期間だけにこだわらず相談してみることが大切です。
不育症とは
不育症とは、妊娠は成立するものの、流産や死産を繰り返し、出産に至らない状態をいいます。
こども家庭庁では、妊娠しても赤ちゃんが育たず、2回以上の流産または死産の経験がある場合を不育症としています。
なお、妊娠検査薬などで妊娠反応が確認されても、超音波検査で子宮内に胎嚢が確認される前に妊娠が終了する「生化学的妊娠」は、現在のところ不育症における流産回数には含まれません。
1人目を問題なく出産した後に、流産や死産を繰り返す場合もあります。そのため、出産経験があるから不育症には該当しない、というわけではありません。
「不妊症」で行う検査
不妊症の検査では、妊娠が成立しにくい原因がないか、女性と男性の両方を調べます。
女性側では、主に次のような検査が行われます。
・超音波検査
・ホルモン検査
・卵管の通過性を調べる検査
・AMH検査
・子宮や卵巣の状態を確認する検査
男性側では、精液量や精子の濃度、運動率、形態などを調べる精液検査が基本となります。
不妊の原因は女性側だけにあるとは限りません。検査を始める際は、できるだけパートナーと一緒に受診について話し合うことが大切です。
「不育症」行う検査
不育症の検査では、流産や死産を繰り返す原因がないかを調べます。
検討される主な検査には、次のようなものがあります。
・超音波検査などによる子宮の形態確認
・抗リン脂質抗体などを調べる血液検査
・甲状腺機能や糖代謝などの検査
・夫婦の染色体検査
・流産した胎児・胎芽の染色体検査
どの検査を行うかは、これまでの妊娠歴、流産した時期、既往歴などによって異なります。すべての方が同じ検査を受けるわけではありません。
また、不育症は検査をしても原因が特定できないことが珍しくありません。こども家庭庁によると、不育症の約7割は医学的な原因がはっきりしないとされています。
「原因が分からない=今後も出産できない」という意味ではありません。検査結果だけでなく、年齢やこれまでの経過などを踏まえ、医師と相談しながら次の妊娠に向けた方針を決めていきます。
流産・死産は本人のせいではありません
流産や死産を経験すると、「仕事を続けていたから」「動きすぎたから」「もっと気をつけていれば」と、自分を責めてしまう方もいます。
しかし、流産や死産は、日常生活のちょっとした行動によって起こるとは限りません。原因が分からないケースも多く、本人の努力だけで防げるものではありません。
心の回復に必要な時間も人それぞれです。無理に気持ちを切り替えようとせず、パートナーや家族、医療機関、自治体の相談窓口など、話しやすい相手を頼ることも大切です。
厚生労働省では、全国の不育症相談窓口を案内しています。医療機関を受診するか迷っている段階でも、利用できる相談窓口があります。
まとめ
不妊症は主に「妊娠が成立しにくい状態」、不育症は主に「妊娠しても流産や死産を繰り返す状態」を指します。
言葉は似ていますが、必要となる検査や治療、サポートは異なります。また、不妊症と不育症の両方に悩むケースもあります。
妊娠しない期間が続いている場合や、流産・死産を繰り返している場合は、自分たちだけで抱え込まず、産婦人科や不妊治療専門クリニック、不育症専門外来などに相談してみましょう。
早めに相談することで、現在の状態を知り、今後の選択肢を医師と一緒に考えることができます。
よく読まれている記事
【ニュース】先進医療に「不妊症患者に対するタクロリムス投与療法」が追加
【ニュース・重要】「オビドレル」の出荷停止と今後の見通し
【助成金一覧】東京・神奈川更新のお知らせ
ホームページオープンのご挨拶

厚生労働省ホームページ
FCHは







