> お知らせ > 【コラム】不妊治療クリニックの初診で行うこと

「不妊治療クリニックを受診したいけれど、初診では何をするの?」

「どのタイミングで予約すればいい?」「パートナーも一緒に行くべき?」など、初めての受診に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

不妊治療クリニックの初診では、これまでの経過や月経周期、既往歴などを確認したうえで、必要に応じて診察や検査を行います。

ただし、不妊検査には月経周期に合わせて行うものもあるため、初診当日にすべての検査が完了するわけではありません。

この記事では、不妊治療クリニックを初めて受診するときの一般的な流れや、事前に準備しておきたいもの、検査内容などを分かりやすく解説します。

※クリニックによって初診の流れや必要な持ち物、検査内容、費用は異なります。受診前に必ず各医療機関の公式サイトや予約時の案内をご確認ください。

不妊治療クリニックはいつ受診すればいい?

一般的に不妊症とは、妊娠を希望し、避妊をせずに性生活を送っているにもかかわらず、1年間妊娠しない状態を指します。

しかし、必ずしも1年間待ってから受診しなければならないわけではありません。

年齢や月経の状態、これまでの病歴などによっては、早めの相談が勧められることもあります。例えば、次のような場合は、期間にかかわらず一度婦人科や不妊治療クリニックへ相談してみるとよいでしょう。

・月経周期が大きく乱れている
・月経が数か月来ないことがある
・月経痛が非常に強い
・子宮内膜症や子宮筋腫などを指摘されたことがある
・卵巣や卵管の手術を受けたことがある
・性感染症や骨盤内炎症性疾患の既往がある
・男性側に精巣の病気や手術歴などがある
・年齢を考慮し、早めに妊娠を希望している

「まだ受診するほどではないかもしれない」と迷っている段階でも、妊娠に関する相談や検査を受けることは可能です。

気になることがある場合は、自己判断で長く待ちすぎず、医療機関へ相談しましょう。

不妊治療クリニック初診の一般的な流れ

初診の内容はクリニックによって異なりますが、一般的には次のような流れで進みます。

1.予約・事前問診
2.受付
3.問診
4.医師による診察
5.超音波検査や血液検査
6.今後の検査・治療方針の説明
7.会計・次回予約

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

1.初診予約をする

多くの不妊治療クリニックでは、初診が予約制となっています。

電話またはWeb予約に対応している医療機関が一般的ですが、初診専用の予約枠が設けられていることもあります。

予約時には、次の点を確認しておくと安心です。

・初診を受けられる曜日や時間
・月経周期による受診日の指定があるか
・パートナーの同伴が必要か
・事前説明会や動画の視聴が必要か
・紹介状が必要か
・必要な持ち物
・初診時の費用や支払い方法

クリニックによっては、初診前にWeb問診票の入力や、治療に関する説明動画の視聴を求められる場合もあります。

2.受付・問診票の記入

受付後は、問診票にこれまでの妊娠・出産歴、月経の状態、病歴、治療歴などを記入します。

主に確認される内容は次のとおりです。

・妊娠を希望している期間
・最終月経の開始日
・月経周期や月経日数
・月経痛や不正出血の有無
・過去の妊娠・出産・流産歴
・不妊検査や不妊治療の経験
・婦人科疾患や手術の経験
・現在治療中の病気
・服用している薬やサプリメント
・アレルギーの有無
・喫煙や飲酒の状況
・パートナーの病歴や治療歴

分からない項目があっても、無理に正確な数字を書こうとする必要はありません。

分かる範囲で記入し、診察時に医師へ伝えましょう。

3.医師による問診

診察室では、問診票をもとに医師が詳しく話を聞きます。

妊娠を希望する時期や、これまで妊娠に至らなかった期間、月経周期、健康状態、既往歴などを確認し、今後どのような検査を行うか検討します。

不妊治療では、医学的な状態だけでなく、希望する治療の進め方や仕事との両立、通院可能な頻度なども重要です。

「できるだけ自然妊娠を目指したい」「年齢を考えて早めに治療を進めたい」などの希望がある場合は、初診時に伝えておきましょう。

4.内診・経腟超音波検査

必要に応じて、内診や経腟超音波検査を行います。

経腟超音波検査では、細い超音波機器を腟内に挿入し、子宮や卵巣の状態を確認します。

主に確認する内容は次のとおりです。

・子宮の大きさや形
・子宮筋腫や子宮内膜症などの可能性
・卵巣の大きさや状態
・卵巣嚢腫の有無
・卵胞の数や発育状況
・子宮内膜の厚さ

月経中でも経腟超音波検査を行うことがあります。

受診日の変更が必要かどうかはクリニックによって異なるため、月経が始まった場合は事前に確認してください。

内診に強い不安がある場合や、性交経験がない場合などは、受付時または診察時に医師や看護師へ伝えましょう。

状態に応じて、経腹超音波検査など別の方法が検討されることもあります。

5.血液検査

初診時には、ホルモン値や感染症などを確認するため、血液検査を行うことがあります。

検査項目の例には、次のようなものがあります。

・FSH(卵胞刺激ホルモン)
・LH(黄体形成ホルモン)
・エストラジオール
・プロゲステロン
・プロラクチン
・甲状腺機能
・AMH(抗ミュラー管ホルモン)
・感染症に関する検査
・風疹抗体検査

ホルモンの分泌量は月経周期によって変化するため、検査によって適した時期が異なります。

そのため、初診日に一度ですべてを検査するのではなく、月経開始直後、排卵期、黄体期などに分けて検査する場合があります。

なお、AMHは、卵巣に残っている卵子の数を推測するための目安となる検査です。

卵子の質や自然妊娠の可能性を直接判定する検査ではありません。

6.検査結果と今後の予定について説明を受ける

診察や当日の検査が終わったら、医師から現時点で分かることや、今後必要な検査について説明を受けます。

初診時点では十分な情報がそろっていないことも多いため、すぐに不妊原因が分かるとは限りません。

月経周期に合わせて複数の検査を行い、女性側と男性側の結果を総合して、治療方針を検討します。

次回の受診日について、次のように具体的な指示を受けることがあります。

・月経が始まってから指定された日数以内に受診する
・排卵が近い時期に受診する
・指定された日に血液検査を受ける
・次回までに精液検査を受ける
・子宮卵管造影検査の予約をする

聞き慣れない言葉や分からない点があれば、その場で質問しましょう。

説明をメモしておくと、帰宅後に確認しやすくなります。

初診当日に行わないこともある主な検査

不妊検査には、特定の時期に行う必要があるものや、別日に予約が必要なものがあります。

子宮卵管造影検査

子宮卵管造影検査は、子宮の形や卵管が通っているかどうかを確認する検査です。

造影剤を子宮内へ注入し、X線などを使用して確認します。

一般的には月経終了後から排卵前までの期間に行われるため、初診とは別の日に予約するケースが多くあります。

排卵の確認

超音波検査や血液検査などを用いて、卵胞の発育や排卵の有無を確認します。

排卵時期に合わせて受診する必要があるため、月経周期に応じて診察日が指定されることがあります。

精液検査

精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、形態などを確認します。

院内の採精室で採取する方法のほか、自宅で採取して指定時間内に持参する方法があります。

採取方法や禁欲期間、持参可能な時間はクリニックの指示に従いましょう。

精液の状態は体調や採取条件などによって変動するため、一度の検査結果だけで判断せず、必要に応じて再検査を行う場合もあります。

初診に持っていくもの

必要な持ち物はクリニックによって異なりますが、一般的には次のものを準備します。

・マイナ保険証または資格証明書
・紹介状(ある場合)
・過去の検査結果
・基礎体温表や記録アプリ
・お薬手帳
・服用中の薬やサプリメントが分かるもの
・月経周期を記録したもの
・過去の妊娠・出産・治療歴をまとめたメモ
・パートナーの検査結果
・質問したいことをまとめたメモ
・支払いに必要な現金やクレジットカード

転院の場合は、過去の血液検査結果、精液検査結果、採卵・受精・培養・胚移植の記録などがあると、これまでの治療経過を伝えやすくなります。

初診はどのような服装で行けばいい?

内診や経腟超音波検査を受ける可能性があるため、着脱しやすい服装がおすすめです。

スカートでなければ受診できないわけではありませんが、ワンピースやゆったりしたスカートなどは、内診時の着替えがしやすいでしょう。

パンツスタイルの場合も、クリニックに用意されている診察用のスカートやタオルを使用できることがあります。

ストッキングや補整下着など、着脱に時間がかかるものは避けておくとスムーズです。

初診はパートナーと一緒に行くべき?

必ずしも初診から二人で受診しなければならないわけではありませんが、可能であればパートナーと一緒に説明を聞くことも選択肢の一つです。

不妊の原因は女性側だけにあるとは限らず、男性側の検査も重要です。

そのため、女性側の検査だけを長く続けるのではなく、精液検査などを並行して進めることが勧められます。

ただし、クリニックによっては、治療開始前の説明や同意書の提出時に、二人での来院を求められることがあります。

仕事などの都合で一緒に受診できない場合は、パートナーの来院が必要なタイミングを初診時に確認しておきましょう。

初診にかかる時間はどのくらい?

初診では問診や診察、検査、今後の説明などがあるため、再診よりも時間がかかる傾向があります。

混雑状況や検査内容によっても異なりますが、受付から会計までに1~3時間程度かかることもあります。

初診日は時間に余裕を持ち、その後の予定を詰め込みすぎないようにすると安心です。

初診にかかる費用は?

初診費用は、診察内容や検査項目、保険診療か自費診療かによって異なります。

不妊治療の一部は保険適用となっていますが、すべての検査や治療が必ず保険適用になるわけではありません。

初診時に複数の血液検査や感染症検査、AMH検査などを行う場合は、費用が高くなることもあります。

また、クリニック独自の検査セットや、保険適用外の検査が含まれる場合もあります。

費用が気になる場合は、予約時または検査前に次の点を確認しましょう。

・初診時のおおよその費用
・保険適用となる検査
・自費となる検査
・検査を受けるか事前に選択できるか
・利用できる支払い方法

医療機関の公式サイトに料金表が掲載されている場合もあるため、受診前に確認しておくと安心です。

初診前に準備しておくとよいこと

①最終月経日と月経周期を確認する

最終月経の開始日や普段の月経周期は、検査の時期を決めるための重要な情報です。

記録していない場合でも、分かる範囲で構いません。

スマートフォンのカレンダーや体調管理アプリなどを確認してみましょう。

②これまでの経過を簡単にまとめる

診察室では緊張し、伝えようと思っていたことを忘れてしまうことがあります。

次の内容を時系列で簡単にまとめておくと、医師へ説明しやすくなります。

・妊娠を希望し始めた時期
・自己流でタイミングを取っていた期間
・過去に受けた検査や治療
・妊娠・流産・出産歴
・婦人科疾患や手術歴
・現在気になっている症状

③聞きたいことをメモする

初診時に確認したいことを、あらかじめメモしておきましょう。

例えば、次のような質問が考えられます。

・今後どのような検査が必要ですか?
・検査が一通り終わるまで、どのくらいかかりますか?
・パートナーはいつ受診すればよいですか?
・仕事と両立しながら通院できますか?
・土曜日や早朝、夕方の診療はありますか?
・費用はどのくらいかかりますか?
・保険診療と自費診療の違いは何ですか?

初診前によくある疑問

月経中でも受診できる?

月経中でも受診できるクリニックは多くあります。

むしろ、月経開始直後に行うホルモン検査や超音波検査が必要になることもあります。

ただし、受診目的やクリニックの方針によっては日程変更を案内される場合もあるため、予約後に月経が始まったときは、自己判断でキャンセルせずクリニックへ確認しましょう。

基礎体温をつけていなくても大丈夫?

基礎体温を記録していなくても、基本的には受診できます。

基礎体温は排卵の状況を把握するための参考になりますが、超音波検査や血液検査など、ほかの方法でも確認できます。

基礎体温の測定が負担になっている場合は、そのことも医師へ相談しましょう。

受診したら、すぐ治療を始めるの?

初診を受けたからといって、必ずすぐに治療を始めるわけではありません。

まずは必要な検査を行い、年齢、妊娠を希望している期間、検査結果、本人たちの希望などを踏まえて治療方針を決めます。

検査結果によっては、タイミング法から始める場合もあれば、人工授精や体外受精などを早めに検討する場合もあります。

一人で受診しても大丈夫?

初診は一人で受けられるクリニックも多くあります。

ただし、体外受精などの治療を始める際には、パートナーへの説明や同意が必要になることがあります。

初診時に今後の来院条件を確認しておきましょう。

まとめ|初診は妊娠に向けた状況を整理する第一歩

不妊治療クリニックの初診では、問診や診察、超音波検査、血液検査などを通して、現在の状態を確認します。

ただし、不妊検査は月経周期に合わせて行うものも多いため、初診当日に原因や治療方針がすべて決まるとは限りません。

初めての受診は緊張するかもしれませんが、分からないことや不安なことを相談するための機会でもあります。

最終月経日やこれまでの経過、服用している薬などを簡単に整理し、時間に余裕を持って受診しましょう。

また、不妊の原因は女性側だけにあるとは限りません。

可能であれば、パートナーとも今後の検査や治療について話し合い、二人で情報を共有しながら進めることが大切です。

※本記事は一般的な情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的としたものではありません。検査や治療については、医師の説明を受け、ご自身の状況に合った方法をご相談ください。