【名誉院長インタビュー後編】真島クリニック――スタッフ全員で支える妊活・不妊治療。未来へつながるサポートのかたち
名誉院長 医学博士
真島 靖重
真島クリニックでは、治療そのものだけでなく、患者さんが「安心して相談できる環境づくり」を大切にされています。後編では、初めての不妊治療に対する向き合い方や、プレコンセプションケア、学級・講座を通して伝えたい想いについて伺いました。
妊娠を考える前からの生活習慣改善や「プレコンセプションケア」について、どのようなアドバイスをされているか教えてください。
「プレコンセプションケア」は若い男女が将来のライフプランを考えながら、日々の生活や健康と向き合うことです。これは今の自分や将来の自分の健康につながるだけではなく、将来を担う子どもたちの健康にも関わります。将来の妊娠・出産を希望しない方でも、性や妊娠・出産について科学的に正しい知識を持っておくことは自分や相手を守るためにも必要なことです。
当院でも生活習慣、食事内容、サプリなど具体的に相談にのっています。
「プレコンセプションケア」は自治体により助成金制度がありますので、ぜひ多くの方に利用してほしいと思います。
相談に来られる患者様から特によく聞かれる不安や悩みには、どのように対応されていますか?
患者さんの不安や悩みは、よく話を聞いて受け止めることが大事だと思います。内容によっては解決できることもできないこともありますが、受け止めて一緒に考えていくことで乗り越えていくサポートができます。患者さんがそれまでの苦労や悩みで声が小さくなったり、下を向いてしまったり時には涙を流されることもありますので、そのような場合は少し休憩を取り、体外受精コーディネーターが別室にてゆっくりとその悩みや思いを聞くようにしています。直接私には話しづらいこともありますし、ワンクッション置いてみることでスムーズにすすむ場合もあります。クリニック全体で患者さんをサポートしていくという体制を大切にしています。
スタッフによる傾聴だけでなく、同じ悩みを共有する方とのピア・カウンセリングをお勧めすることもあります。
「コウノトリ学級」をはじめとした不妊学級や教育講座を実施されている背景や目的について教えてください。
コウノトリ学級を始めて来年で20年になります。コウノトリ学級は、一般不妊治療・体外受精の治療説明、ピアカウンセラーを交えたお話し会があり、体外受精コーディネーターの資格を持つ胚培養士が担当して対面やzoomで実施しています。担当者の顔を見て話を聞く事ができ、その場での質問も可能です。そのため、治療の初期から胚培養士と患者さんとの信頼関係を築くことができ、その後の診察の際に話がスムーズに進むことが多いとも感じています。また患者さんからの評判も良く、口コミで来て下さる方もいます。
胚培養士にとっても、不妊学級などであらかじめ患者さんとお会いしていることで、実際に治療が始まってからコミュニケーションがとりやすくなります。受診時に患者さんから質問をされたり、人工授精の精液検査結果や胚の分割結果など説明内容以外に声掛けをすることもあります。治療の中には、うまくいかない結果となることもあります。そのような大切なお話をお伝えする際にも、すでに信頼関係が築けていることで、患者さんが結果を受け止めやすい環境につながります。私たちは、その気持ちに寄り添いながら、次の一歩に進めるようにサポートしていきます。
学級や講座を通じて、クリニックとして伝えたい一番大切なメッセージは何でしょうか?
まず、不妊治療に関する正しい情報を知っていただき、ご夫婦で「どのように治療を進めていきたいか」を話し合う機会をつくることを大切にしています。
そのうえで、お二人の治療に対する希望や検査結果を踏まえ、できるだけ早い段階でお一人お一人に合った治療方針を一緒に考えていきます。
お二人が納得して治療に向き合っていただけるよう、学級や講座を通じてサポートしています。
助成制度や保険適用に関して、患者様が混乱しやすい点はございますか?
不妊治療の保険適用の範囲が広がったおかげで、不妊治療へのハードルが下がりました。今まで不妊治療にかかる費用が高額なために治療をあきらめていたカップルも不妊治療に挑戦しやすくなったと考えられます。ただし、すべての不妊治療が保険適用となったわけではないので、保険適用の範囲がどこまでなのか正しい知識を得る必要があります。また、不妊治療の保険適用以外にも、地方自治体が独自で設けている不妊治療専用の助成金制度もあります。年齢制限や回数制限もありますので、なかなかに理解が難しいと思います。当院でも患者さんの負担を減らすため、その方毎にあてはまるものをきちんと案内するようにしています。
今までの経験や海外のデータを参考に使用していた薬は一部保険診療では使えなくなりましたし、新しい薬も保険適用がとおるまで使えません。不妊治療が自費診療だったときは、個々に合わせたオーダーメイドの治療が主流になっていましたが、標準化されたことで不妊治療の内容やステップがよりわかりやすくなったとも言えます。しかし、多くの患者さんは標準治療でよいのですが、保険の治療のみではうまくいかない患者さんもいます。いくつかの自費診療は先進医療という形で保険診療と自費診療の併用ができることになりましたが、それ以外はすべて自費となり負担が多いままの現状です。このような患者さんに対する助成や年齢制限をもう少しスピード感をもって見直していただければと願います。
これからさらに強化していきたい診療分野はございますか?
私のところも今まさにそうなのですが、学会でも話題に上がる「世代交代」に差し掛かり、対象のクリニック同士でのセッションを設けたり、学会で発表したりすることで若い世代の先生方に多くを引き継いでもらえるようにと考えています。
若い先生方のコミュニティを作り、我々の築いてきたものを共有し、今後の診療がスムーズにいくように努力しています。
最後に、不妊治療や妊活を考えている方々へ、先生からのメッセージをお願いいたします。
これはもう、一言で「Time To Pregunant!」
一日でも早く妊娠、出産という願いを叶えていただきたいと考えております。そのためにも、どうぞお早めに受診いただければ幸いです。スタッフ一丸となってサポートいたします。
患者様の思いに丁寧に寄り添いながら、先進医療や学びの場、そして多職種によるサポート体制によって 一人ひとりに合った治療方法をともに考えていく姿勢が印象的でした。妊活や不妊治療は、時に心が揺れることもあります。 そんなとき「いつでも相談できる場所がある」と感じられることは、とても心強い支えになるはずです。 真島クリニックは、患者様が自分らしい選択をし、前へ進んでいくために温かく寄り添い続けていきます。
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