【コラム】男性不妊における先進検査・治療技術
男性不妊における先進検査・治療技術
はじめに
不妊の原因は「女性側にある」と思われがちですが、実際には 約半数は男性側の要因 であることがわかっています。
しかし、男性不妊については「検査や治療が限られている」と感じる方も多いのではないでしょうか。
近年は、従来の精液検査だけでなく、より精密に精子の質を評価したり、良好な精子を選ぶための 先進的な検査・治療技術 が登場しています。
今回はその代表的な技術を解説します。
精子の質を詳しく調べる検査
1.精子DNA断片化検査(DFI検査)
・通常の精液検査では「数・運動率・形態」しかわかりません。
・しかし、受精後の胚発育には 精子のDNAの健全性 が重要です。
・DFI(DNA Fragmentation Index)検査では、精子のDNAがどの程度損傷しているかを測定します。
👉 DFIが高いと、受精しても胚の分割が進みにくく、妊娠率が低下する可能性があるとされています。
精子をより厳密に選ぶ方法
2.IMSI(高倍率顕微鏡下精子選別法)
・通常の顕微授精(ICSI)では、200〜400倍程度の倍率で精子を選びます。
・IMSIはそれを 6000倍以上 に拡大し、細かな形態異常まで観察して選別。
・より形態の整った精子を使うことで、受精率や胚発育の改善が期待されます。
3・PICSI(ヒアルロン酸結合能精子選別法)
・精子の中で「ヒアルロン酸に結合できるもの」は成熟度が高く、DNA損傷も少ないとされています。
・PICSIは、この特性を利用して精子を選別する方法です。
・自然に近い条件で「質の良い精子」を見極められるのが特徴です。
その他の先進的アプローチ
4.精子機能検査(酸化ストレス評価など)
・精子の酸化ストレスや運動持続能を測定する検査。
・精子の「量」ではなく「質」に着目した評価方法。
5.TESE(精巣内精子採取術)+ICSI
・射出精子が得られない無精子症のケースでも、精巣内から精子を直接回収して顕微授精に用いることが可能。
・遺伝子検査と組み合わせて適応を判断することもあります。
費用と利用の実際
・精子DNA断片化検査:2〜5万円程度
・IMSI / PICSI:5〜15万円程度(体外受精やICSIに追加)
・TESE:数十万円程度
👉 保険適用外となることが多いため、事前に医療機関での確認が必要です。
メリットと注意点
【メリット】
・精子の質をより正確に把握できる
・良好な精子を選べる可能性が高い
・難治性不妊の原因解明につながる
【注意点】
・科学的根拠がまだ発展途上の技術もある
・自費負担が大きい
・導入している医療機関が限られている
まとめ
男性不妊は、決して珍しいものではなく、多くのカップルに関わる課題です。
最新の検査や治療技術を活用することで、原因をより深く理解し、適切な治療方針を立てることができます。
「女性だけでなく男性も一緒に治療に取り組む」ことが、不妊治療の成功につながる大切なポイントです。
不安な場合は、まず医師に相談し、自分に合った検査や治療を選択していきましょう。
✅ ポイントまとめ
・男性不妊は全体の約半数に関与
・DNA断片化検査、IMSI、PICSIなどの先進技術あり
・効果や必要性は個人差が大きいため、医師と相談を
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