【不妊治療当事者様インタビュー】スミカマレ様
ツイッターで自身の不妊治療、妊娠、出産、育児体験を漫画にして日々更新中。
スミカマレ
ツイッターで不妊治療を題材に漫画を描かれているスミカマレ様にインタビューに答えていただきました。
スタッフ:不妊治療を始めるきっかけは何ですか?
不妊治療を始めたきっかけは、元々私に流産した過去があり、また妊娠できるのか気になっていたので一度婦人科を受診してみたかったのと、自分で基礎体温を測ったり排卵日を特定するのが億劫だったので妊活のために排卵日を病院で調べてもらいたいという理由で婦人科に行ったことがはじまりです。
身近に不妊治療で授かった知人が複数人いたので病院に通うことには抵抗はありませんでした。
スタッフ:かかった費用はいくらくらいでしょうか?
600万円いかないくらいです。
スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?
最初はお互いそれぞれの辛さや苦悩を理解しようと歩み寄れていたはずなのに、いつの間にか足並みがずれてお互いがお互いの一番の味方になれなくなった時期があり、精神的に辛かったです。
流産が重なった時、どうしても許せない夫の一言に気持ちが抑えられなくなり、義実家からの帰り道に衝突したことがありました。
その時夫が「俺だって辛い」と言ったんです。
不妊治療のために仕事を辞め、痛い治療は自分ばかりで”自分の方が辛い”という気持ちでいっぱいになっていた当時の私にはその言葉が彼の気持ちの全てだと理解し受け入れるまでかなり時間がかかりましたが、また向き合うことができ足並みを揃えて治療をすることができるようになりました。
それからは”どちらも辛いし頑張っている”と考えられるようになりましたが、不妊治療は長く続けば続くほど2人1組でないと頑張れないなと感じました。
スタッフ:パートナー様やご両親、友人、職場の方々との関係はどういった感じでしたか?
夫とはほぼ毎週土日に外食したり、平日はタイミングが合えば夜道を散歩したりしてよく「子供を授かった時の話」と「夫婦二人で生きていく話」をしていました。
喧嘩をすることもありますが、話し合うこともできる良好な夫婦関係でした。
お互いの両親は不妊治療に関しては応援してくれていましたが一時期「もう辞めたら?」なんて言われたこともありました。
そのうちまた何も言わなくなってそっと見守ってくれていましたが、両親からすると治療がうまくいかない私たちが心配だったんだと思いますが。
スタッフ:これから不妊治療を始める方に何かアドバイスはありますか?
私たち夫婦の不妊治療は男性不妊外来での診断で遠回りしてしまった可能性があるので、気になることがあればセカンドオピニオンもいいのではと思います。
スタッフ:改善してほしい点などあればお願いします。
いくつかの不妊クリニックに通いましたが、個人的には待ち時間が長くても自分が大体あと何番目に呼ばれるか可視化されているクリニックや、外出できる場合は呼び出しの通知がメールで来るシステムのクリニックが中抜けして仕事をしたりカフェに行ったり買い物できたりしてすごく良かったので他のクリニックでも可能ならばそうしていただけると嬉しい方もいるのでは?と思います。
また、診察の予約やキャンセルなどもネットでできるととても助かります!
スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思いますか?(期待や改善点等あれば)
当事者の金銭的な負担が減ることは良いことですし、保険適用を通して不妊治療が多くの方に必要とされていることを色々な方に知ってもらえるチャンスなのかなと思います。
保険適用の影響か、テレビでもネットでも不妊治療についての内容のものをよく目にするようになりました。
もちろん着床前診断やSNSでの精子提供などこれってどうなんだろうと思うことはまだありますが、男性不妊の認知も私が治療を始めた頃より広がってきているように感じます。
当事者が治療をしやすい環境になっていくには当事者以外の方に不妊治療について少しでも関心を持っていただくことが入り口だと思うので、保険適用自体はとてもありがたく思っております。
不妊治療をしているとデリケートなことなので塞ぎがちになってしまったり、妊娠出産がスムーズにできた方と距離を感じて孤立してしまうこともあると思います。
しかし”不妊治療のことを理解したい、身近で悩んでいる当事者にどのように寄り添えばいいか知りたい”と思う方が世の中にはたくさんいます。
そのことを孤独を感じている当事者が時々思い出せたり、心の負担が少しでも減る社会になっていけば良いなと思います。