
【院長インタビュー】✿六本木レディースクリニック 池袋院✿
院長
伴 政明
2025年1月に開院された六本木レディースクリニック池袋院をご訪問しました!院長先生にインタビューをさせていただいた様子をお届けいたします✨
スタッフ:①まずは保険適用後、日本の不妊治療で変わったと感じている点はございますか?
保険適用されたことにより、多くの方に不妊治療を受けていただけるようになったと感じております。特に、金銭的な面で治療をためらっていた若年夫婦の方が治療を受けられるようになったことが最も大きな変化と考えています。保険適用されたことで、多くの方が妊活に対して計画的に考えるきっかになっていただければうれしいと考えております。
スタッフ:②PGT-Aについての先生のご意見等ございましたらお願いいたします。
PGT-Aは現在先進医療Bの臨床試験の結果を解析中だと思いますが、今後どこかの段階で保険適用化が予想される、不妊治療における大切な検査であると考えております。現在、胚の見た目をグレードとして評価して胚移植を行っておりますが、必ずしもグレード評価が結果に結びつくわけではないことが問題となっております。そこで、胚の染色体を評価してから胚移植の選択を行うPGT-Aが登場しました。とても有効な方法ですが現在のPGT-Aで正倍数性胚と評価されても妊娠率は約65%、流産率は約10%となっており染色体評価だけでは必ずしも妊娠するわけではないこともわかってきました。おそらく遺伝子やエピゲノム、また遺伝的要因以外の影響などが関係していると思いますが、なぜ妊娠しないのかに関して今後さらなる調査が必要であると感じています。また現在のPGT-Aは胚への侵襲性の問題があるため、どなたでも検査が受けられるわけではない点が現状の課題です。今後非侵襲性のPGTAの精度が向上すれば、PGTAの役割は更に大きくなってくると考えております。
スタッフ:③男性不妊について、アドバイスがあればお聞かせください
まず、妊活を意識しているカップルは一度精液検査を受けてみることをお勧めします。WHOの発表では、何らかの不妊の原因が男性側にもある確率が48%と報告されております。ある程度妊活をして、上手く行かなかったら不妊検査する流れが現在は一般的ですが、妊活開始前から精液検査を行うことで妊活をスムーズに進めることができます。以上の前置きを前提として男性不妊に関してのアドバイスは、正しい生活習慣と信頼できる泌尿器科医を見つけることの2点です。正しい生活習慣とは適切な睡眠、運動、ストレスを溜め過ぎないことなどです。特に喫煙とサウナは精子の大敵です。また精子は禁欲期間が1週間など長期に及ぶ場合、精子の運動率低下などが起きるため2-3日に1回は射精することをお勧めしております。信頼できる泌尿器科医を見つけることも大切です。見つけ方の一つの目安としては必要以上に自費診療を進めてくる医師でなく、できるだけ保険診療で行えるように提案してくれる医師は誠実である可能性が高いと考えます。
スタッフ:④今後の不妊治療業界はどうなっていくと予想されていますか
現在「プレコンセプションケア」といって不妊症になってからではなく、妊活をこれから考える段階で様々な検査を行うことが一つの選択肢になっております。今後は予防医学の観点から、不妊症になる前から計画的に妊活を行うそういった流れがとても大切になってくると思います。治療から予防へのシフトが不妊治療業界でも起きると考えております。また治療を行う段階となった場合は、より個別化された不妊治療が今後さらに重要になってくると考えます。
スタッフ:⑤現在、卵子・精子共に保存を考える方が増えている一方で、「どこに行けば相談に乗ってくれるのか」や「独身でも相談できるのか」等の不安や疑問を抱える方も多いと思います。そのような方にお声をかけるとしたらどのようにおかけしますか?
不妊治療のクリニックは、なかなか受診するハードルが高いと感じていらっしゃる方が多いと思います。一方で、卵子凍結を行い将来に備えることはとても大切な選択肢の一つです。まずはインターネットやSNSから情報を収集されることが多いと思いますが、間違った情報も数多く見受けられます。やはりお近くの不妊治療を専門にしているクリニックを受診されることをお勧めします。実際に不妊治療を受けられる方だけでなく、これから妊娠を考える方の相談のみで受診される方も実は多いということを知っていただけると嬉しいです。
きっと気軽に適切なアドバイスをもらえると思います。もちろん独身の方のみの受診も大歓迎です。
スタッフ:⑥最近耳にすることが増えた「プレコンセプションケア」について先生が患者様に求めていらっしゃることはどのようなことがございますか?
まずプレコンセプションケアはとても大切な考え方です。これは不妊を”治療”でなく”予防”していこうという考えです。プレコンセプションケアという概念があるということを是非みなさんに知っていただきたいと考えております。そして様々な検査を受けることで妊活を計画的に行って欲しいと願っております。我々は子供の時に誰しもが、何歳までに結婚をして何歳までに何人の子供が欲しいかを漠然と考えると思いますが、その考えはいつしか現実とのギャップを前にして立ち消えになっていくことが多いと思います。最近は卵子凍結などの技術も発展しており様々な選択肢があります。そのため、再度ご自身が何歳までに何人のお子さんをご希望しているかを計画し直すきっかけにしていただければと思います。
スタッフ:⑦国や自治体からの補助・助成制度はどのようなものがあれば、患者様がより治療を受けやすくなるとお考えでしょうか?
現在、様々な助成制度がある程度は充実しているように感じます。一番の問題は、助成制度にどのようなものがあるかが非常にわかりにくい点です。医療機関としてもできる限りの情報提供を行っておりますが、お住いの自治体ごとに助成制度がばらばらであるため、どの方にどのような助成制度があるのか把握しきれていないのが現状です。そのため妊活を行っている方は、今一度お住いの自治体のホームページなどにアクセスしていただき、活用できる助成制度があるかどうかを確認していただきたいと思っております。
スタッフ:⑧貴院で行われている「オーダーメイド治療」では具体的にどのようなことが実施されていますか?
当院の治療がオーダーメイド治療である一番の理由は、主治医制で治療を受けられる点にあります。同じ医師が一貫して治療を行うことで、パーソナライズされた治療を受けることができます。不妊治療は人それぞれ原因や治療方法は異なっておりますので、ご自身にあった治療を受けていただくことが妊娠への近道であると考えております。
スタッフ:⑨貴院ではチーム医療による高い妊娠率を実現されていますが、医師・看護師・胚培養士などの専門家がどのように連携して患者様をサポートされているのか具体的にお聞きしたいです。
当院のスタッフは、それぞれの専門性を高めるために職種毎に集まって勉強会やカンファレンスを行うことはもちろん、月に1回定期的に全職種が集まり、その月の振り返りを行っております。カンファレンスでは患者様の安全性を高めるための講習会の開催や、作業手順の再確認などを行っております。全職種が共通の認識で治療を行えるようにすることが、現在のチームワーク医療の実現に貢献していると考えております。
スタッフ:⑩クリニックで採用されている最新の技術や設備が、患者様の治療にどのように役立っているのかをお聞きしたいです。
当院では、最新式の卵を育てる培養器であるタイムラプスインキュベーターが2台および顕微授精を行う倒立顕微鏡も最新型を採用しております。
妊娠率の向上を目指して、胚の培養環境を極限まで高める取り組みを行っております。
スタッフ:⑪池袋院はどのような背景や目的で開院をされましたか?
もともと六本木レディースクリニックは六本木で開業いたしました。その後ありがたいことに年間採卵件数2000件を超えるクリニックまで成長いたしました。ただし場所柄、埼玉県や北関東からのアクセスが大変であるとのご意見をいただき、この度池袋にて開業させていただきました。
スタッフ:⑫貴院では患者様に対して予約システムや院内の環境、展示資料等の中で特別に心がけていることはございますか?
当院ではインターネット上で予約が取れる予約システムを採用しており、利便性の向上を心がけております。また当院は仕事と不妊治療の両立ができるクリニックを目指しております。そのため院内環境といたしましては、診察の待ち時間でも仕事が行えるようにFREE Wi-Fiの設置や電源コンセントの設置、ウォーターサーバーの設置など快適な院内環境を整えております。
スタッフ:⑬最後に、今後の貴院の方針や展望などをお聞かせいただきたいです。
私たちは妊娠という「結果」を最も重視した治療を心がけております。そのために科学的根拠に基づき、最短の道のりで妊娠に至れるような治療法をご提案しております。
妊活を通じてご夫婦が幸せな人生を歩んでいける、そんな手伝いをしていけるクリニックを目指しております。
この度はお忙しい中、インタビューにお答えいただき誠にありがとうございました。 先生のお話を伺いながら、患者様のことを第一に考えた治療方針や、最先端の技術を取り入れた医療の実践に深く感銘を受けました。また、快適かつ安心して治療を受けられるように工夫された設備や環境にも感動いたしました。 何よりも、先生の温かいお人柄に直接触れることができ、とても心に残るひとときとなりました。患者様に寄り添う姿勢と情熱が、病院全体に行き届いていることを実感いたしました。末筆ながら、貴院の益々のご発展をお祈り申し上げます。

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