> お知らせ > 【院長インタビュー】✿HORACグランフロント大阪クリニック✿

HORACグランフロント大阪クリニックにご訪問し、森本院長にインタビューを受けていただきました

スタッフ:保険適用後、日本の不妊治療で変わったと感じていらっしゃる点はございますか?

HORACでは患者様が2倍に増えました。これまでは年齢が高く、妊娠が難しいという方が多かったが、現在は若い方も増えました。
自費の時は負担が大きかったが、いまは患者様の気持ちが少し楽になったように感じられます。体外受精をして胚移植が上手くいかなかった場合でも、次のステップへ希望を持つ方が増えたと感じます。
一方で、保険診療でカバーできない患者様が取り残されていることが課題だと考えています。

スタッフ:PGT-Aについての森本先生のご意見等ございましたらお願いいたします

PGT-Aは染色体の異数性を確認するための検査です。アメリカでは一般的に行われておりほとんどの方が受けているが、日本では慎重に導入された経緯があります。
(経緯について)→元々、一部の方たちが、自分たちを排除する気なのかという意見が出ました。そのため、産婦人科医でも導入に対して慎重な姿勢が見られました。

臨床研究では、PGT-Aの効果が認められていますが、ヨーロッパの専門家の中には反対派の方が多く、PGT-Aを行うことにより妊娠率は上がるが大きなメリットはない・最終的な生産率は変わらないというご意見の方も多いです。

私たちは、大阪大学との臨床研究を行っているので、データを積み重ねて将来的にPGT-Aを保険適用にすることを目指しています。自費で行うと、体外受精も自費になってしまい膨大なお金がかかるため、PGT-Aを必要とする患者様のために1日でも早く保険適用で受けられるようにするべきだというのが私の意見です。

スタッフ:男性不妊について、同性である森本先生からアドバイスがあればお聞かせください

男性不妊の方は非常に多いです。以前行ったテレビ局との共同調査では、20歳前後の男性で正常な精子を持っているのは40人中5人しかいないという驚きの結果が出ました。

当院でも不妊原因の約4割が男性側に起因しており、男性の性器周辺の血液の流れを確認して治療を行っています。また当院では食事や運動の指導も行っております。男性不妊はあまり注目されていないが、最近は男性の意識が変わってきて、自分も努力したい・どうしたらよいのかと考える男性が増えました。男性不妊症は高度生殖医療で補うことができます。精子の質が高まることによって良質な胚ができ妊娠しやすくなるので、男性の努力も非常に重要だと思っています。

スタッフ:今後の不妊治療業界はどうなっていくと予想されていますか?

(森本先生は)世界体外受精学会のプレジデントをしており、そちらの情報によるとIvy(スペイン発祥)が大きな不妊のグループとなりアメリカの不妊センターを買収し、韓国の企業がオーストラリアの大きな集団を買収するなど、多くが株式会社の下に統合しています。
そうすると、利益追求型の医療になってしまうことが予想されます。安かろう悪かろうでレベルの低い医療を提供するクリニックが増えてしまうと良くないので、日本の生殖医療の質の高さを維持することが大切だと思います。今後も、大型の不妊センターによる統合や会社による統合が進むと考えられています。

そうすると、利益追求型の医療になってしまうことが予想されます。安かろう悪かろうでレベルの低い医療を提供するクリニックが増えてしまうと良くないので、日本の生殖医療の質の高さを維持することが大切だと思います。今後も、大型の不妊センターの統合や会社による統合が進むと考えられています。

スタッフ:現在、卵子・精子ともに保存を考える方が増えている一方で、「どこに行けば相談に乗ってくれるのか」や「独身でも相談できるのか」等の不安や疑問を抱える方も多いと思われます。そのような方々にどうお声がけをされますか?

女性の社会進出や卵子凍結の技術が上がったことにより、卵子凍結が盛んになりました。
ただ、質の悪い精子や卵子を凍結しても意味がないので、規則的な食事・運動・サプリを取り入れて、質を高めてから凍結したほうが良いと考えています。受精しないものも出てくるので、卵子を多めに採る必要があります。45歳を超えるとほとんどの卵子が使用できないこともあるので、できるだけ早いうち(30代前半)に凍結をしていただきたいというのがメッセージです。

スタッフ:最近耳にすることの増えた「プレコンセプションケア」について森本先生が患者様に求めていらっしゃる事と、これからの社会や教育に対してどう進めていくべきかお聞かせください

❶AMHを測定することによって残存している卵の数がわかるので、まずは政府を主体として若年女性のAMHを測定するべきだと思います。そうすると卵の減りを予防することもできるので、自分の身体の現在の状態を知ることが大事です。 
❷クラミジア感染を起こすと卵管を食い破ってしまいます。クラミジア感染を起こさない努力をするため、性交渉の正しい知識を持っておいて欲しいと思います。
❸運動をしっかり行うことが大きなプレコンセプションケアになると思っています。ミトコンウォーク(ミトコンドリアを活性化させるウォーキング法)、有酸素運動(スイミング、ヨガ、ピラティス等)を常時行うべきだと考えています。活性酸素を発生させないようにする(PM2.5が多い時には外出に気を付ける、心理的なストレスをできるだけ減らす等)妊娠しやすい体質づくりを常に心がけてほしいです。

スタッフ:国や自治体からの補助・助成制度はどのようなものがあれば、患者様がより治療を受けやすくなるとお考えでしょうか?

❶40代は3回、40代以下は6回という胚移植の回数制限を撤廃してほしいと思います。また、42歳までという年齢制限も撤廃してほしいです。平等に医療を受ける権利があると私は考えています。
❷卵巣発育不全(卵巣がほとんど動かなくなってしまっている)の方の治療は保険では行えないのが現状なので、そういう方に対する補助も頂きたいです。
❸着床障害・不育症がほとんど保険で認められておらず、大きな問題となっているので、補助が必要になると思います。

スタッフ:今後の貴院の方針や展望等をお聞かせいただきたいです

総合医療の有効性が高くなってくると思います。
ストレスの多い時代・大気汚染が進み続けているという点で、活性酸素が増えて難治性不妊症が増えてくると思うので、総合医療を先端技術と一緒に行っていきたいと考えています。

先端技術のミトコンドリア移植(世界で2,3か国ほどしか行っていない)で既に13人の赤ちゃんが奇跡的に誕生しているので、今後もっと全国に広めていきたいです。脂肪幹細胞を用いた新しい方法を確立していて、現在、動物による安全性試験が終わったところでこれから臨床試験に入っていきます。HORACでは新しい世代の革新的な技術をどんどん開発して使っていきたいと考えています。
また今後、IPS細胞から卵子・精子を作る技術が出てくるのでそれに備えて準備をしていきたいです。

ご多忙の中お時間をとっていただき誠にありがとうございました。HORACグランフロント大阪クリニックでは統合医療を行っており、患者様のことを第一に想った設備や制度が整っていることを実感いたしました。今後も森本院長をはじめ、職員の皆様のお気持ちが一人でも多くの方に届くよう、心よりお祈り申し上げます。

【院長インタビュー】✿HORACグランフロント大阪クリニック✿

インタビュイープロフィール

理事長 院長 医学博士

森本 義晴

https://www.ivfhorac.com/