【院長インタビュー前編】✿まるたARTクリニック✿
院長
丸田 英
まるたARTクリニック にご訪問し、丸田 英 院長先生にインタビューを受けていただきました。
スタッフ:保険適用後、日本の不妊治療で変わったと感じている点はございますか?
若い方々が興味を持ち、検査をしてみようかなという意識が高まったと思います。
スタッフ:PGT-Aについて、丸田先生のご意見等ございましたらお願いいたします。
PGT-Aに関しては患者様の選択をしっかりと行えば、かなり効果のある治療法だと思います。残念な点は、「先進医療や保険診療にならなかったところ」「35歳以上になると、妊娠率が医学的に落ちてきたりするところ」一定の基準は設けてもらっていいが、保険診療の中で選択できるような方向性を考えてほしいと思います。
スタッフ:男性不妊について、同性である丸田先生から何かアドバイスがありましたらお聞かせください
昨今は男性不妊に関して知識が広まり、男性にとっても大事だという流れが高まってきていると感じるので良い傾向にあると思います。
しかし患者様とお話をしていると、自分は大丈夫だという意識が男性は特に強いように感じます。男性も不妊にかかわっているということは、もっと世の中の人たちに知ってほしいし、セミナー活動を通して普及をしていかないといけないと感じています。
スタッフ:卵子・精子ともに保存を考える方が増えている一方で、「どこへ行けば相談に乗ってくれるのか」や「独身でも相談できるのか」等の不安や疑問を抱える方も多いと思います。そのような方々にお声をかけるとしたら、どのようなお声がけをされますか?
誰に相談するかで答えが違ってくると思います。卵子凍結や精子凍結は将来の妊娠を考えてのお話なので、不妊治療をして結果的に妊娠に導いた・妊娠に導くことができなかった両方の経験を持っているクリニックが卵子と精子の将来像をきちんと表すことができると思います。産婦人科や泌尿器科の先生であまり不妊にかかわっていない先生方に卵子凍結・精子凍結についての質問をしても、主観でしか答えられないと思うので、不妊専門で体外受精を行っているクリニックに相談をするのが良いと思います。
スタッフ:まるたARTクリニックでは単身の男性も相談に来られる方が多いと伺いましたが、どの様な患者様がいらっしゃいますか。
不妊クリニック=不妊症しか診ないという雰囲気が出ているので、精子の状態を調べる(不妊治療ではない)ために不妊クリニックは選択しづらい部分があるのかなという気はします。泌尿器科の先生のところで精子を検査すると考えている方が一定の割合いらっしゃるが、精子をしっかりと扱っているクリニックでないと、検査をして評価をすることは簡単ではないです。そのため、まるたARTクリニックでは、精子だけを検査するプランニングを行っています。単身の男性患者様も増えてはいますが、通院しにくい・検査をしにくいという雰囲気がまだあると実感はしています。
スタッフ:丸田先生はお忙しい中セミナーの開催や、様々な活動も精力的にしておられますが、我々FCHでも何かお力になれることはございますか?
妊娠できなかった方の多くは、「自分の身体のことを知らなかった」「気づいたら歳を重ねていた」というパターンが非常に多いので、現在妊活や結婚を考えていない人たちにも知識を得ておくことは将来の女性のライフプランを考えるうえでとても大事だと常に感じています。妊娠の期待値が高い年齢(20代)までに考えましょうと発信することが大事だと感じます。不妊セミナー・単身女性に向けたセミナー・卵子凍結のセミナーを頻繁に行いたいと考えています。
呼んでいただければどこへでも足を運ぶが、学会だと専門の先生に向けて話すという趣旨になってしまいます。フラットな人たちに少しでも知っていただきたいので、企業に出向いたり一般の方向けにセミナーを開催したりする方が我々の趣旨には合っています。
スタッフ:最近耳にすることは増えた「プレコンセプションケア」について、丸田先生が患者様に求めていらっしゃることはどのようなことがございますか?
A,卵子凍結はプレコンの一環としてあるものだと思うが、3~4年前に比べると東京都は助成を始めて高まってきています。しかし、ほかの地域にはもっとプレコンというワードを広めていかなければならないと感じます。女性が自分の人生を豊かにするために「結婚する・しない」「子どもを産む・産まない」は自由の選択で良いが、その選択肢を自分に思いのままに選べるように今の自分たちのこと、将来の自分たちのことを知ろうとすることはとても大事なことだと思っています。