> お知らせ > 【池田市長インタビュー】卵子凍結費用助成事業とプレコンセプションケアの背景・今後の展望

池田市が全国に先駆けて2024年度より実施している「卵子凍結費用助成事業について」、近年重視されている「プレコンセプションケアについて」に着目してお話しを伺いました✨

スタッフ:まず卵子凍結費用助成事業について、この事業を始められた背景や目的について教えてください。

現代社会では、女性が仕事やキャリアを大切にしながらも、将来の妊娠や出産について不安を抱えていることが少なくありません。特に、妊娠のしやすさが年齢とともに低下していくことは医学的にも明らかであり、その現実に直面して悩む方が多くいらっしゃいます。そうした女性たちに対し、自治体として何か支援ができないかと考えた結果、この卵子凍結の助成制度を立ち上げました。女性が自分らしく生き、自らの将来を主体的に選択できる環境づくりを目指した取り組みです。

スタッフ:助成内容と、実際の申請状況について教えてください。

助成の対象は、18歳から39歳までの女性で、池田市に住所を有している方です。卵子凍結にかかる初期費用に対して最大20万円の助成を行い、さらに卵子の保存にかかる費用として年間2万円、助成を5回まで受けられる仕組みとなっています。令和6年度においては、3件の申請がありました。まだ始まったばかりの制度ではありますが、関心を持ってくださっている方も多く、今後の広がりに期待しています。

スタッフ:市民の皆さんからの反応や、利用者の声にはどのようなものがありますか?

制度の開始にあたっては、幅広い世代の方々から様々な反応が寄せられました。特に印象的だったのは、70代・80代の男性といった当事者ではない方々からも『こうした支援は必要だ』という前向きなご意見をいただいたことです。また、キャリアと出産の両立に悩んでいた女性からは、『制度が後押しとなって一歩を踏み出せた』という声もありました。一方で、税金の使い道に関する疑問や否定的なご意見も一部にはありましたが、市としては丁寧に制度の趣旨を説明し、理解を得る努力を続けています。

スタッフ: 今後、制度の見直しや拡充の予定はありますか?

現在のところ、制度の大幅な見直しは予定しておりませんが、利用状況や市民の声を踏まえて、必要があれば柔軟に対応していく考えです。市としても、この制度がより多くの方にとって有益なものとなるよう、継続的に評価・改善していく姿勢で取り組んでいます。

スタッフ:制度の周知や広報活動について、具体的にどのような取り組みをされていますか?

広報活動としては、市のフェムケア担当アドバイザーの協力を得て、広く市民の皆さまに制度を知っていただけるよう工夫をしています。また、健康意識を高めるためにセミナーを開催しており、現在は中学生向けには性教育に関する啓発ノートブックの作成も進めています。将来的には出前授業や学校現場へのアプローチも視野に入れて、幅広い層への周知を図っていきたいと考えています。

スタッフ:性教育や健康知識の普及についての取り組みを教えてください。

男女の体の違いや、性に関する正しい知識を若いうちから身につけることは、将来の妊娠・出産にも大きな影響を及ぼします。現在作成を進めている、中学生を対象にした教材は『気になったときに手に取って読める』『自分の体を知るきっかけ』になるものをめざしています。こうした教材を通じて、性教育を単なる知識の押し付けではなく、自分の人生を主体的に考える第一歩として捉えてもらえるよう努めています。

スタッフ:妊娠前の健康管理について、どのような課題があると想定されていますか?

多くの女性が、妊娠や出産を考える段階になって初めて産婦人科を受診する傾向があります。しかし、妊娠を見据えた身体づくりは日常的な健康管理の延長にあるべきです。池田市では、そうした意識を育むために様々な機会を通して、『かかりつけ医を持つことの大切さ』や『自分の体と向き合うことの意義』を伝えています。まずは関心を持つところから始め、将来的にはより多くの方が積極的に健康管理に取り組める環境づくりを目指しています。

スタッフ:最後に、不妊治療に限らずプレ妊娠期から支援する取り組みを通じて、どのような社会的効果を期待されていますか?

日本全体で出生数が減少している背景には、若い世代が将来に対して希望を持ちにくい社会構造があると考えています。卵子凍結という技術や、それを支援する制度が広がることで安心感を提供し、人生設計に対する選択肢を広げられると期待しています。結果的に、妊娠・出産支援だけでなく、社会全体の前向きな変化にもつながっていけばと考えています。

このたびは大変ご多用の中、インタビューにご協力いただき誠にありがとうございました。「女性が自分らしく生きるための選択肢を広げる支援」としての制度の背景や、広報・啓発活動に込められた思いは、私どもにとっても大変学びの多い機会となりました。今後とも引き続き、少子化対策や妊活支援の分野での貴重なお取り組みを応援させていただければと存じます。

【池田市長インタビュー】卵子凍結費用助成事業とプレコンセプションケアの背景・今後の展望

インタビュイープロフィール

池田市長

瀧澤 智子

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