> インタビュー > 【不妊治療当事者様インタビュー】つくし様

Instagramにて不妊治療の情報を発信されている"つくし様"にインタビューにお答えいただきました

スタッフ:不妊治療の経歴を教えてください

32歳で結婚。2年経ってから妊活を開始。すぐにレディースクリニックでタイミング法を始める。

1年程タイミング法を行った後、地域の専門病院に転院。
4回採卵を行い、1回目のみ胚盤胞移植すること出来たが陰性。他は胚盤胞にならず。

県外の不妊治療専門クリニックに転院し2回採卵を行うが、胚盤胞にならずに移植へ進めていない状況。

スタッフ:不妊治療を始めたきっかけは何ですか?

私は、28歳で乳がんの既往があります。
手術、抗がん剤6クール、放射線、ホルモン治療を受けました。ホルモン治療がもうすぐ5年終了というところで、再発や転移も見られずに落ち着いていることから主治医の許可を得て、妊活を考え始めました。

抗がん剤治療の影響で生理が戻らない可能性があったので、子どものことは正直諦めていました。なので、ホルモン治療の薬をストップし、生理が戻るのか?少しの期待を持って準備を始めました。

幸い数か月後に生理が戻り、身体からホルモンのお薬が抜けるのを待って避妊をやめました。

そういった経過があったので、早めに近所のレディースクリニックへ受診を決め、タイミング法からスタートしました。

スタッフ:掛かった費用はいくらくらいでしょうか?

タイミング法から始め、保険適用になった年にステップアップしました。

総額約110万程度。
助成金でカバーされているので、実質64万円程の支払いになっています。

他、県外への交通費や個人的に購入したサプリメント代があります。

スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?

治療した先に妊娠が必ずしも約束されていないことが、とても辛い事と思います。
私の場合は…になりますが、乳がんの治療中はこの治療が終われば元の生活に戻れる、元気になれると心を奮い立たせ前に進んでいる実感を持ち治療と向き合うことが出来ました。

一方で、不妊治療はクリニックを卒業し妊娠を継続できることが一つの区切りと思っていますが、それまでに沢山の壁があります。
私は低AMHで1度に取れる卵の数が少なく、受精しなかった、成長が止まったと聞くとどれだけ頑張って治療をしてもスタートに戻ることになるのが辛いです。

回数を重ねる度に、気持ちの切り替えが大変になってきています。

スタッフ:パートナー様やご両親、友人、職場の方々との関係はどういった感じでしたか?

夫とは、高度不妊治療に進んでからお互いぶつかることもありました。
ですが、沢山話をして乗り越えていく中で、上手く言えませんが良い方に夫婦の関係性が変わってきているように感じます。

お互いの両親や親しい友人には治療していることを伝えています。
こちらから話さない限りは治療について聞かれることはありません。

本格的に高度不妊治療に入る前に退職を決め、1回目が終了したところで仕事をやめました。
職場には伝えており、理解して下さっていました。

スタッフ:これから不妊治療を始める方に何かアドバイスはありますか?

妊活・不妊治療を考え最初の病院を選択する際、不妊治療の専門クリニックを視野に入れてほしいです。

私は妊活を考え、一番初めに一般のレディースクリニックへ行きました。
ホルモン値などの血液検査や卵管造影検査を受けましたが、検査項目の中にAMHの値が入っていませんでした。

次に転院した専門病院でAMHという項目があること、そしてその数値が40代半ばの方と同程度であることが分かりました。
急ぐ必要があったと思いますが、それを知らずにタイミング法を1年間続けていました。

既往歴に乳がんがあり抗がん剤治療の影響を分かっていながらも、最初から専門病院を選択しなかったことをとても後悔しました。
不妊治療に対する知識や向き合い方の甘さがあったからだと思います。

不妊治療を受けられる方々が、時間を大切に治療が出来ることを願っています。

スタッフ:改善してほしい点などがあればお願いします(例 クリニックにこうしてほしい、治療をしながらもっと自由に働ける職場がほしい等)

高度不妊治療に進み、続けていた仕事をやめました。
一つは治療をしながらの精神的な負担が大きかったこと。
もう一つは、今は乳がんの状況は落ち着いていますが、再発した場合はそこで不妊治療終了となります。このタイミングで治療に集中したいと思いました。

1年間専業主婦をさせてもらい、4月から短期や登録型のアルバイトを始めました。
短時間のお仕事にも応募しましたが、治療の状況で急なお休みがあるかもしれないことが難しかったようで採用になりませんでした。

治療にはお金がかかりますし、最低限の生活費も必要です。
社会の不妊治療に対する理解や、治療をしながらでも働きやすい雰囲気が出来ていけばいいなと思います。

スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思いますか?(期待や改善点等あれば)

保険適用になった年に高度不妊治療へ進みました。
3割負担で受けられるのは大変ありがたいです。

少し話はずれますが、がん治療のための妊孕性温存療法と生殖補助医療について全額自己負担とのことで(助成金があると聞きました。)保険適用の不妊治療のように、制度が進んでいく可能性があるのか気になります。

将来に希望を残せること、金銭的な負担が軽減され生殖補助医療を受けられることは、若い患者さんの治療の糧になると思います。

スタッフ:プレコンセプションケアについてどう思われますか?

妊活を始めるまで、妊娠出産に関する自分の身体の状態について真剣に考えることがどれ位あっただろうか?と思います。

乳がんになり、抗がん剤治療の影響で閉経するかもしれないと告げられた時、何の根拠もなく当たり前に子どもを産めると思っていたことに気が付きました。

結婚し妊活を考えた時に、不妊の検査は何があり、治療がどのように進むのか?を知識不足のまま始まったように思います。

自分で調べることも大切だったと思いますが、もし出来れば学生の頃から不妊治療に関する知識を学ぶ機会が欲しかったです。
ベースになる知識があれば、その後の行動も変わっていたと思います。

また、不妊治療に関する検査を受けることになるまである程度の時間がかかるのではないでしょうか。
身体の健康状態を知るのと同じように、不妊の検査も受けやすい仕組みがあればいいと思います。

スタッフ:自由回答(思うこと・お伝えしたいことをお書きください)

妊娠・出産が出来る時期は限られているので、子どもを望む全ての方がご自身の時間を大切に後悔なく治療が出来ること、我が子を抱く日が来ることを願っています。

インタビューにお答えいただきありがとうございました!

【不妊治療当事者様インタビュー】つくし様

インタビュイープロフィール

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