【不妊治療当事者様インタビュー】さしみ様*36歳から始めるプレコンセプションケアの重要性
Instagramにて妊活情報を発信されている"さしみ様"にインタビューにお答えいただきました。
スタッフ:不妊治療の経歴を教えてください
36歳 婦人科でタイミング指導を受けて妊活開始
38歳 不妊治療専門クリニック通院開始
子宮筋腫腹腔鏡手術
体外受精開始(7回の採卵周期を経て一度も移植出来ず)
39歳 転院
子宮ポリープ手術
40歳 2回目の移植で陽性反応→妊娠継続中
スタッフ:不妊治療を始めたきっかけは何ですか?
タイミング法でなかなか授かることができず、のんびりしていられない年齢だったため、人工授精の選択は飛ばして体外受精にトライすることにしました。
もともと大きめの子宮筋腫があり、妊娠を妨げている可能性があったため、筋腫の手術をすることと、体外受精に移行することを同時に決めました。
術後半年は妊娠出来ないことを知り、年齢的に術後の期間を無駄にするのはもったいないということで、術後の妊娠できない期間に採卵からスタートをしました。
スタッフ:掛かった費用はいくらくらいでしょうか?
治療費で170万円くらいです。(手術費用も含みます)
転院後の約半年間は、関西から関東への新幹線通院だったため、加えて交通費が30万円超かかっており、トータルで200万円ほどになると思います。
そのほかに、鍼灸や漢方、サプリ代などがかかっています。
スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?
体質的に卵子がなかなか育たず、数も少ないため、採卵が思うように進まないことが辛かったです。
10回以上の採卵周期を経て、妊娠に至りましたが、卵が見えなかったり、卵が育たなかったり、採卵が出来ても未熟卵だったりと、なかなか前に進むことが出来ず、次の採卵周期にも希望がもてず、先が見えない苦しさがありました。
自分がつらいのはもちろんのこと、うまくいかなかった結果を夫に報告するのも、「またがっかりさせてしまう」と思うと、とても心苦しかったです。
スタッフ:ートナー様やご両親、ご友人、職場の方々との関係はどのような感じでしたか?
夫は不妊治療に対してとても協力的で、わたしの心と体を最優先に考えてくれたので、なかなか結果が出なくてもがんばることができたと思っています。
いつも感謝を伝えてくれて、「ふたりで生きていく人生もあるのだし、私がつらくなったら辞めよう」と言ってくれたことで気持ちが楽になりました。
母も義母も治療に対して理解があり、応援してくれていたので、とても助かりました。
友人は一部の仲の良いメンバーには、赤裸々に話をしていました。不妊治療を経て授かった友人も何人かいたので、アドバイスをもらったり、話を聞いてもらったりしていました。一方で、早めに出産をした友達には話しづらく、一切治療については話していません。
体外受精のスタートを機に会社員をやめ、フリーランスになったため、仕事関係の方たちには、治療についての話はしていませんでした。
元々勤めていた会社に所属したままだったら、周りへの迷惑などをあれこれ考えてしまい、通院するのも気を遣っていたのだろうな…と思います。
スタッフ:これから不妊治療を始める方へのアドバイスはありますか?
まずは自分の体質を知ることが大事だと感じています。わたしの場合はAMHが低い体質なので、その専門のクリニックに出会えたことが大きな転機になりました。ひとつのクリニックで結果が出なくても諦めずに、セカンドオピニオンも視野に入れてみるというのもひとつの選択肢だと思います。
また、食生活などの生活を整えるのも大事だと思いますが、不足している栄養素はサプリメントに頼るのもひとつだと思います。
スタッフ:改善して欲しい点はありますか?(例:クリニックにこうしてほしい、治療をしながらもっと自由に働ける職場がほしい等)
大手のクリニックは仕方がない面もあるとは思いつつ、待ち時間の長さがもっと改善されればありがたいです。予約の意味とは…と思うほど待つことも多々ありました。
スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思われますか?(期待や改善点等あれば)
わたしは結果的に保険の範囲内の治療で妊娠することが出来たので、とても感謝しています。
ただ、保険診療は使える薬や通院回数に制限があることで、自身の体質に合わせた治療が必要な妊娠しづらい体質の方にとっては難しい面があると感じていました。自費診療の場合、以前のような補助金制度が使えるようにする選択肢を残してもらえると、治療の選択の幅が広がると思います。
スタッフ:プレコンセプションケアについてどう思われますか?
わたし自身が恥ずかしながら本気で妊娠について考え始めたのが、36歳を過ぎてからでした。さらに体外受精をスタートする38歳まで、「そのうち出来るだろう」となぜか根拠なき自信を持っていたので、妊娠することがこんなに難しいことだということに気づいていませんでした。
健康診断の項目にブライダルチェックで検査する項目を入れるなど、自身の体を知るタイミングがあったら意識も違ったのかな、と思います。
最近は発信力のある方たちが、妊活や卵子凍結についての発信するのを目にすることも増えてきたように感じています。そういったものを通じて社会での意識も高まっていくのは良いことだと思います。
スタッフ:自由回答(思うこと・お伝えしたいこと)
わたしはInstagramで不妊治療の記録を投稿していて、同じ境遇の方や専門家の方など、たくさんの方とSNSを通して情報交換をさせていただきました。
リアルな友達には話せない本音を出せる場があったことで、気持ちが救われることが多々ありました。治療中は気持ちの浮き沈みが激しいので、同じ境遇の方のコメントや、治療を経て授かった方からのアドバイスには非常に助けられ、とても感謝しています。
治療が長引くと、気持ちが落ち込むこともたくさんあると思いますが、美味しいものを食べて飲んで、パートナーの方やご家族、お友達など、信頼できる方との時間を大事にしていただきたいと思います。