【不妊治療当事者様インタビュー】しぃ様*治療費200万円と仕事の両立
Instagramにて、妊活の情報を発信されている"しぃ様"にインタビューに答えていただきました
スタッフ:不妊治療の経歴を教えてください
●2021年 結婚式後にクリニック通院開始
ブライダルチェック後、人工授精からスタート
人工授精3回の後に体外受精も視野に転院
●2022年 人工授精の残り3回の後体外受精へステップアップ
14個採卵、6個凍結
●2023年から移植周期スタート
①自然周期移植でhCGによる排卵誘発とワンクリノン膣用ゲルのみ使用→着床せず
②自然周期移植でオビドレルによる排卵誘発とワンクリノン膣用ゲルのみ使用、アシステッドハッチング、高濃度ヒアルロン酸培養行う→化学流産(hCG1) トリオ検査行う→着床の窓は正常、内膜炎の菌はいない、子宮内フローラ0%の完全無菌状態 ラクトフローラフォルテによる治療開始(以降全周期において使用)
③自然周期移植でhCGによる排卵誘発とワンクリノン膣用ゲル使用、アシステッドハッチング、高濃度ヒアルロン酸培養行う→化学流産(hCG1)
④自然周期移植でhCGによる排卵誘発とワンクリノン膣用ゲル使用、アシステッドハッチング、高濃度ヒアルロン酸培養行う→hCG48で陽性判定→6週の頃に妊娠悪阻で5日入院→退院後数日で出血と腹痛あり→進行流産の診断→7w3dに子宮内容物搔爬術 体質改善、夫婦関係改善のためのお休み周期を半年設ける 2024年不育症検査にて、血栓症リスクあり、亜鉛少なめとの診断
⑤自然周期移植でhCGによる排卵誘発とワンクリノン膣用ゲル使用、アシステッドハッチング、高濃度ヒアルロン酸培養行う、BT1からバイアスピリン内服→hCG142で陽性判定→8週で妊娠悪阻で4日入院、9週で出血しやすいと言われていた箇所から大出血、胎児に問題はなく脱落膜が剥がれただけのよう、デュファストンで様子見(現在)
スタッフ:不妊治療を始めたきっかけは何ですか?
交際当時から性交渉ができなかったことから、自然妊娠をあきらめていました。
ただ、当時は人工授精で簡単に妊娠できると思っていたし、まさか自分に原因があるとは思っていませんでした。
そして不妊治療という、医療行為のみで妊娠することに違和感も覚えていました。
性交渉をしてこその妊娠だと思い込んでいた時期もあり、悩んだり喧嘩をしたりもしましたが、今となってはあの時不妊治療に踏み切って本当によかったと思っています。
今では、体外受精による妊娠に何の違和感も持っていません。
スタッフ:掛かった費用はいくらぐらいですか?
ざっと200万くらいは明細上は掛かっているかと思います。
ただこれはサプリ等も込、流産手術の費用等も込での金額にはなります。
でも、この金額の全てを自己負担しているわけではなく、医療保険の給付金や医療費控除で100~150万程度はカバーされたかな?という感覚です。
それでも日々の生活費が足りなくなってきたり等、金銭的負担は結構あったと思います。
スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?
治療によって体力が奪われ、薬の副作用もある中で、正社員で働くことはできず、扶養内でパート勤務をしていました。
ただ、体外受精に進む頃にはパート勤務もしんどくなってきて、4回目の移植を機に仕事のやり方を少し変えました。
流産の心の痛みを軽減させるために仕事に打ち込んだら次は中途半端に扶養が外れてしまい、次の瞬間には仕事が激減して収入が極端に不安定になってしまいました。
そんな中でも国民年金の支払いに追われながら不育症検査のお金も払って…という出費が重なるタイミングが多くなるのが治療中は一番辛かったです。
もっと貯金を増やしてから治療再開すればよかったかも…と少し後悔はありますが、自分のメンタルを安定させてから移植できたので、それはそれとしていい経験だったかなと思っています。
スタッフ:パートナー様やご両親、ご友人、職場の方々との関係はどのような感じでしたか?
友人、職場からはとても理解を得ることができ、中には同じように治療を頑張っている方もいたので会話の中で息抜きをすることはできました。
夫は、表面上は協力的だったのですが、情報収集や家事を積極的にはやらないタイプだったので、流産するまでに私も鬱憤が溜まりまくって、流産後に離婚を考えて家庭内別居をするくらいにはギスギスしていた時期もありました。
そこから夫婦で話し合いを重ねて、夫の意識も行動も変わってきて、今では夫の方が育児等も情報通ですし、家事もほぼ完璧にこなしてくれています。
私も夫も実家が遠方なので、実家からの援助もプレッシャーもなく、ある程度自由にしています。
ただ、私個人としては実母とは折り合いが悪く、流産の報告をしたにも関わらず子供用の絵本を持って遊びに来たり、会話は常に否定から入ったりと神経を疑うことが多々ありました。
それ以降、あまり深く関わりすぎないように、以前よりも距離を取って必要最低限の連絡のみするように留めています。
逆に義実家とは年々仲良くなってきており、義父に「孫と遊んで貰わないといけないんだから(長生きするために)お酒はほどほどに!」なんて軽口を言えるようになりました。
スタッフ:これから不妊治療を始める方へのアドバイスはありますか?
不妊治療は想像よりしんどいし、自分が舵を取る気持ちでいないとクリニックの意向でどんどん進められてしまいます。
そして夫婦間でよく話し合いをしないと、すぐに1人で戦っている感が強くなります。
まずは治療を始める前に、夫婦で子供の欲しい度合いを真剣に話し合って、ブライダルチェック等を2人で受けて、今後の方針をまた2人で真剣に話し合ってほしいです。
また、1周期も無駄にしたくない!と思ってしまうことがあると思いますが、卵巣年齢的にある程度若い方はその思考は捨ててください。
私の経験では、1周期も無駄にしたくない!という思考こそが、ストレスになり、緊張になり、悪循環を生んでいました。
本当に1周期も無駄にしたくないなら、まずは食事や睡眠、入浴、温活をしっかり行い、ストレスフリーに生きてほしいです。
そして旦那さんにも妊活(不妊治療)を自分事に捉えてもらい、体調の変化によっては家事ができないことも理解してもらい、公的サービスや実家の援助、旦那さん自信に家事をしてもらう等、母体が楽に過ごせる環境作りをしていってほしいです。
あと、これもとても重要なのですが、医療保険には絶対に入ってください!不妊治療で給付金が下りるものに、ブライダルチェックの段階で加入しておくと安心感が全然違います!
スタッフ:改善して欲しい点はありましたか?(例:クリニックにこうしてほしい、治療をしながらもっと自由に働ける職場がほしい等)
私は午後からの仕事だったので仕事との両立は比較的できた方かなと思います。
欲を言えば、クリニックでもっとメンタルケアをしていただきたかったです。今の精神状態で本当にステップアップしていいのか?ステップアップする前に体質改善周期を作ろう等、治療一色にならない提案や診察をしてほしかったと思います。
妊活鬱の手前だったので、気づいて欲しかったな…と。
もし可能なら、どのクリニックでも全ての検査ができるようになると更に嬉しいかなと思っています。
スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思われますか?(期待や改善点等あれば)
保険適用されてもまだまだ高いのが実情。
もう少し安くなったり、公費でカバーできるものが増えたり、先進医療の検査が保険適用になったり等、今後に期待です。
あとは、不妊治療開始時から常々思っていることですが、年齢制限や卵巣年齢制限等はあってもいいとは思いますが、移植の回数制限をなくして欲しいです。
若いのに移植5回まで使ってしまって、今回もし流産したら後がない…と思うとそれがストレスになってしまいます。
また、廃止してほしい考え方としてもう1つ、12週以前に流産したらそれは子供1人にカウントされないというもの。
せめて心拍を○回確認後は子供1人として認めてもらえないと、移植の回数制限と相まって子供を諦めざるを得ない人が増えてしまう可能性があると思っています。
スタッフ:プレコンセプションケアについてどう思われますか?
この先必ず必要になると思います。
以前からふくよかな体質の方はいたと思いますが、現代では逆に細すぎるが故に妊娠しづらい方や、PMSが酷いために食生活が乱れてしまう方、そもそもの仕事が忙しいが故に生活習慣が崩れている方が増えていると感じます。
そして若いからまだ大丈夫と自分を過信してしまうこともあると思います。
でも、そのまま治療を開始するよりも、まずは体質改善をしてからの方が、結果として近道になると思っています。
基本的な、睡眠、食事、入浴、ストレスケアを包括的にできるサービスがどんどん増えてほしいと思っています。
スタッフ:自由回答(思うこと・お伝えしたいこと)
不妊治療をしていると、暗くて長い迷路に迷い込んだような感覚になることが多いと思います。
そして自分も周りも嫌いになったり、もうダメだと自暴自棄になることもあると思います。
私も本当にそんな時期が長かったです。
でも、まずは深呼吸して、自分の生活を整えること。
そしてそれを旦那さんとも共有して2人で楽しむこと。
旦那さんと自分のベクトルが同じ向きを向いて初めて、妊活は成功すると思います。
なので、焦りすぎず、順番を間違えず、時には医療の手も借りながら、ゆっくり2人のペースで進めばいいんだと、気を楽に持ってくださいね!
可愛い我が子に会える日を楽しみに、妊活を楽しみ尽くしましょう!