> インタビュー > 『不妊治療の保険適用は大きな意義が。負担軽減と周りの理解が必ず進む』

自らも当事者として、不妊治療の負担軽減に取り組んできた野田聖子衆議院議員に、当サイトFCHがインタビューをさせていただきました。

スタッフ:まず、野田聖子さんの不妊治療の負担軽減への思い、野田さんも推進してきた負担軽減のこれまでの動きについてお聞かせください。

私が直接不妊治療に携わるようになったのは20年前で、まさに自分が当事者として治療と向き合った時に感じた問題は、まず治療を受けていることを隠さなければならなかったこと、何というか公表できない治療というイメージがありました。
二つ目は、仕事との兼ね合いがとても大変で。国会と採卵とで、いつも綱渡りだったので。採卵を諦めたことが何回もありました。
三つ目は、やはり費用で、それをどうにかしたいねと同じ意識を持った仲間たちと検討したけれど、保険は病気のためにあるし、確率が低いことには使えないということで進められず、それでは助成という形でお支えしていこうと始めたのですが、これは若い世代の方々にとって、しっかりと開かれたドアにはなりませんでした。
やはり一番大事なことは、若い人たちが早期に不妊治療の入り口に立てること。治療費が高いから諦めるとか、そういうことにならないために、保険適用というのは象徴的だし、保険適用になると、隠さなくてよい治療だということを、みんなに伝えられるのかなと。
私が治療を受けていた頃は、不妊の原因は女性にあると言われる事が多く、女性として不出来なレッテルを貼られたようで、とても嫌な思いをしましたし、だから、オープンに治療を受ける事ができませんでした。でも、そうではないんだと、保険適用というのは、ただ治療費が安くなるだけではなくて、みんなが堂々と取り組めて、隠さなくていい治療なんだよ、というお墨付き、周りの理解、そして、仕事との両立についても流れが出来てくるのではないかと期待しています。

スタッフ:不妊治療の保険適用の意義をお聞きしたいんですけれども、今までは助成金の拡充というのは行われてきたわけですけれども、今回の不妊治療の保険適用を実現できたことは何が違いますか?

当時、助成金は政治判断で不妊治療当事者のためのお支えとして決めたけれど、実際はなかなか進みませんでした。けれど、菅義偉総理や和田政宗参議院議員(不妊治療支援拡充議連事務局長)が動いてくれたおかげで、まず助成金も保険適用前提で、保険とほぼ同じ水準の大幅拡充になりました。この間も現場からの意見を議員連盟や菅総理に伝えてくださっていた杉山力一医師から、「今、子どもの数は減っていますが、不妊治療をされている方は増えていますよ」って聞いたので、保険適用にできてよかったと思っています。
助成金というのは、やはりど真ん中ではないですよね。保険になると安定的に続いていくことなので、その違いは大きいと思いますね。地域によって不妊治療を受けられる環境に差が出てきたりすることがありますが、保険であればどこでも平等で、地域差が無くなっていくのだと思います。

スタッフ:負担軽減の面でも保険適用というのは良い面がありますね。

もちろん!不妊治療は治療費が桁違いで、一回の治療に何十万もかかるというのが、特に若い世代の皆さんへの経済的負担はとても大きいですし。共働きで、何とか治療を続けられている状況ではないでしょうか。イスラエルのようにタダまでは行けないにしても、この度の保険適用で、現実的に取り組める負担額になったのではないかと思います。

スタッフ:不妊治療を受けやすくする環境づくりや、社会のあり方も重要だと思うんですけれども、今回の保険適用を含めて、これからの面ではいかがですか?

今までは何となく、特別な人たちの治療というイメージがありましたけれども、不妊治療は子どもを望む方の妊活のためのものでもあります。保険適用となりましたから、不妊にならないためにも、若い人が早くから自分の身体を知るという良い機会を作ってもらいたいですし、当然、費用負担が減ることで計画的に治療に取り組めるようになります。一回の治療費が高額で一年間持たないという人も多かったけれど、これからは積極的に背中を押せるようにして行きたいと思います。地域によっての治療の差も保険によって平準化されてくるので、地方創生の観点からも東京でないと治療が受けられない等、そういう問題の解消になるのではないかと期待しています。

スタッフ:企業の取り組みという観点からはどうですか?

明らかになってきたことは、不妊の原因は女性だけではなく男性にも半分あること。けれども、まだ男性社会なんですよ、働く場所って。経営者もほとんど男性ですし。これからは不妊治療がオープンになってきますので、自分事として、働き方の中でも相手を尊重する休みの取り方を進めて頂きたいと思います。これから保険適用となり、不妊治療を受けるという決断をされた重みに寄り沿っていくような、新たな休みの取り方とか、理解の仕方をきちっと進めていただきたいなと思いますね。

スタッフ:男性のことをおっしゃってましたけれども、不妊治療は本来は男女お互いで取り組まないといけないんですけれども、女性に対する負担が重い。それは、男性がもうあとは任せたみたいなところが出るときにあると思うんですけれども、そのあたりはどうですか?

女性任せにするのではなく、男性もしっかり取り組んで欲しいですね。不妊という課題の中で夫婦が生きて行くわけで、お互い様ですから。男性の理解がなくては乗り越えていけません。まだまだ不妊は女性が原因だという古い認識があるじゃないですか。女性の方が悪いというのが、この国の不妊のありようでした。それがようやくいろんなエビデンスが出てくる中で、実は男性にも半分ぐらい原因があると分かり、それをしっかり受け止められる学びをして欲しいなと思います。それこそ男性にも女性にも有給休暇を取りやすくする環境整備をして欲しいなと思います。

スタッフ:保険適用になって、この後の運用というのもしっかり見ていかなくてはならないと思うんですけれども、次の段階というものはどう考えていますか?

不妊治療は日進月歩の世界で、今までの技術より更にいろんな技術革新があって、生まれてくる子どもも増えているという事が分かっているので、そこへのいい歩み、走りなのかな?保険というのはどちらかというと、まあ硬いですから、ずれ感がないように、治療している人と現場に違和感が生じないようにウオッチしていかなくては行けないなと思っています。
例えば、私は今、慢性疼痛(まんせいとうつう)という問題に取り組んでいて、私の若い頃は「痛みは我慢しろ」と言われて育ってきたけれど、今は「痛みは我慢してはいけない」というのが世界の流れです。日本の考え方は凄く遅れているんですよね。痛み止めとか麻酔とかに社会が抵抗するみたいな。そういうのを変えていくのが、やはり立法であったり保険等の制度なので。不妊治療と他の医療では同じ医療でも全然違いますし、私達が不妊治療保険適用の生みの親として、これからも運用や制度をしっかりと見ていかなければと思います。

スタッフ:最後にご自身の経験も含めて、これから不妊治療に取り組む方、取り組んでいる方に対するメッセージをお願いします。

不妊というのは、自分にも起こり得ることで、とにかく男性も女性も自分のヘルスチェックだと思って、精子や卵子の状態を確認していただけたらと思います。女性の生理不順、子宮筋腫やポリープは不妊の原因になりますし、卵管の状態を確認する事なども、自分の身を守るという意味でレントゲンを撮ったり血液検査をするのと同じように、自分の生殖機能についても関心を持って備えて欲しいし、結果として不妊になったとしても、かつてに比べたら不妊治療に取り組めるドアは開いています。以前より敷居が低くなったので、ためらわずにパートナーと手を携えて挑戦して欲しい。私も全力で応援します。