> インタビュー > 【不妊治療当事者様インタビュー】宮野 真弓 様*保険適用の課題と混合診療の必要性

妊活・不妊治療に関するお金の専門家。FPの宮野 真弓様にインタビューにお答えいただきました。

スタッフ:不妊治療の経歴を教えてください

27歳の頃、30歳までに妊娠できればと思い基礎体温をつけ始めました。1年経っても妊娠に至らず、近所の産婦人科でタイミング指導を受けました。当時は仕事が忙しかったのと、不妊に対する知識がなかったことで、ずるずると2年もタイミング法を続けていましたが、医師から人工授精を提案されたことをきっかけに、不妊治療専門クリニックへの転院を決意しました。そこで人工授精を2回した後、1回目の体外受精で妊娠に至り、第一子を出産しました。
第一子が卒乳したことを機に、二人目に向けた不妊治療を再開。凍結胚移植2回目で妊娠に至り、第二子を出産しました。
第二子の卒乳後、不妊治療を再開。残っていた凍結胚移植を1回、その後新たに採卵し、4回目の移植で妊娠し、第三子を出産しました。

スタッフ:不妊治療を始めたきっかけは何ですか?

基礎体温をつけ始めて1年経っても妊娠せず、夫婦のどちらかに何か原因があるのかもしれないと思い検査に行ったのがきっかけです。

スタッフ:掛かった費用はいくらくらいでしょうか?

子ども3人の治療費を合わせて約250万円です。

スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?

一番辛かったのは精神面です。不妊の原因が見つからないのに妊娠できない、努力のしようがない、という状況がとてもしんどかったです。子どもは大好きなのに、赤ちゃんを見るのが辛く、友人の妊娠・出産を喜べない自分がイヤになる時期がありました。
金銭面も楽ではありませんでした。当時は、不妊治療は保険適用外で助成金にも所得制限があり、治療費の負担は大きかったです。

また、私が不妊治療を始めた当時は「妊活」という言葉もなく、当初は職場に伝えずに通院していたので、仕事との両立もとても大変でした。やっとのことで仕事を調整して受診しても「明日も来てください」と言われることもあり、苦労しました。

スタッフ:パートナー様やご両親、友人、職場の方々との関係はどういった感じでしたか?

夫はとても協力的でしたが、今思えば、私ほど子どもを望む熱量があったわけではなかったようなので、無理をさせてしまっていたかもしれません。それでも、私の気持ちに寄り添ってくれたことにとても感謝しています。

私の両親や妹には不妊治療のことは話していて、気分転換に一緒に買い物やランチに行くなど、見守ってもらっていました。夫の両親には心配をかけたくなかったので話しておらず、今でも私達が不妊治療をしていたことを知りません。なかなか妊娠しないことを心配していたようですが、直接何かを言ってくるようなことはなく、見守ってくれていたのでありがたく思っています。

友人にはほとんど話していませんでしたが、SNSで不妊治療をしている人とつながり、情報交換をしたり気持ちを吐き出したりできたことは心の支えになりました。

当初、職場には不妊治療のことは伝えていませんでしたが、女性の先輩1人にだけ話していました。急な通院が必要な時や薬の副作用で体調が悪い時などにフォローしてもらい、本当にお世話になりました。

スタッフ:これから不妊治療を始める方に何かアドバイスはありますか?

夫婦で早めに検査を受けることです。原因があるかないかで治療の進め方は大きく変わります。時間的な制約がある中で遠回りをしないためにも、検査だけでも早めに受けることをおすすめします。
また、夫婦でよく話し合い、治療の段階、年齢、金額など、どこまでの治療を望むのかの意見をすり合わせたり、疲れた時は一緒に気分転換をしたり、治療を一時中断したり、二人で治療に取り組めるといいと思います。

また、FPとしては、情報収集をしっかりした方がいいと思います。自治体や勤務先に不妊治療を支援する制度はありませんか?加入している医療保険から給付金が受け取れませんか?多くの支援は、自分から申請しなければ受けられません。正しい情報を入手して、忘れずに申請しましょう。

スタッフ:改善してほしい点などあればお願いします (例 クリニックにこうしてほしい、治療をしながらもっと自由に働ける職場がほしい)

・クリニックの待ち時間の短縮や、待ち時間を有効に使えるようにしてほしい
・職場も治療と仕事の両立のために、働き方の選択肢を増やしてほしい
・保険診療と保険外診療の混合診療を認めてほしい

スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思いますか?(期待や改善点等あれば)

不妊治療に保険が適用されたことで、不妊治療を始めやすくなったと思います。また、不妊治療に対する社会の理解も広がったように感じます。
一方で、国の助成制度がなくなり、お住まいの地域によっては保険適用前よりも経済的な負担が大きくなってしまうケースもあります。それぞれの状況に合わせて幅広い治療の選択肢を持てるよう、混合診療を認めるなども検討してもらいたいです。
また、不妊治療を行う上での相談事をできる窓口がふえるといいなと思います。

スタッフ:プレコンセプションケアについて思うことはありますか?

年齢や性別、妊娠・出産の有無に関わらず、健康な生活を送ることはQOLを上げる上でもとても大切だと思います。若いうちから、そして年齢を重ねても、健康に関わる情報に手軽にアクセスできる環境が整うことを望みます。

スタッフ:自由回答(思うこと・お伝えしたいことをお書きください)

正しい情報にアクセスできるこのようなサイトがあることは、妊活中の方やこれから子どもを望む方の助けになると思います。私もFPとして妊活中の方、これから子どもを望む方のサポートをしていますが、正しい情報にアクセスできるこのようなサイトがあることは、妊活中の方やこれから子どもを望む方の助けになると思います。
子どもを望む方が安心して妊娠、出産、子育てできる社会の実現に向けて、私もFPとして尽力したいと思います。

インタビューにお答えいただきありがとうございました。

【不妊治療当事者様インタビュー】宮野 真弓 様*保険適用の課題と混合診療の必要性

インタビュイープロフィール

ファイナンシャルプランナー

宮野 真弓

https://fpoffice-minoria.jimdofree.com/