> インタビュー > 【不妊治療当事者様インタビュー】おかき様

Xにてご自身の妊活に関する情報・若い方への不妊治療への啓蒙を積極的に発信されている"おかき様"にインタビューに答えていただきました。

スタッフ:不妊治療の経歴を教えてください

24歳で結婚。タイミング法で授からず26歳で地元の婦人科へ。“不妊症”と診断される。30歳で県内の不妊治療専門クリニックへ。

顕微授精一択もしくは卵子提供の方が可能性が高い、と言われながらも計4回卵巣刺激を試すも採卵まで辿り着けたのは内2回。しかし成熟卵は採れず。

他県の有名なクリニックへ転院し。同じく卵子提供を勧められるも、諦めきれず計10回卵巣刺激を試す。内採卵まで辿り着けたのは3回。成熟卵は0個。

その間、IVA手術や卵子提供、里親制度・養子縁組などの情報収集を行い、実際その選択をされた方から話を聞き自分自身の選択肢を広げる。

自己卵子での最後の挑戦とすべくPFC-FDが出来るクリニックへ転院。
今月たまたま卵胞が見えたため採卵周期15回目と同時並行でPFC-FDの検体注入済み。

スタッフ:不妊治療を始めたきっかけは何ですか?

結婚した当初より夫婦共通の目標は“家族を増やす事”でした。しかしタイミング法で授からず、2年経った所で何となく婦人科を受診すると不妊症と診断されました。
現実を受け止めたくないという気持ちと、どこか他人事のような気持ち、そして何より"それでも病院に通えば何とかなるだろう"という安易な気持ちから、一旦積極的な治療を中断し、仕事に専念する事にしました。30代に突入しそろそろ本格的に不妊治療を始めようと思った時には、早発閉経の診断を受けました。

スタッフ:掛かった費用はいくらくらいでしょうか?

これまでの合計14回(約2年半)の卵巣刺激でかかった不妊治療費の合計は約500,000円。
保険内治療という事と、そもそも採卵まで辿り着くのが難しかったので採卵費や培養費などの料金がかかっていません。

不妊治療費以外にかかった費用は合計約1,400,000円。
IVA手術代・妊活鍼灸・サプリ・妊活サロン・体質改善費用など。

不妊治療費とその他関連費を合わせると、約2年半で1,900,000円。

スタッフ:不妊治療をしていて辛かったことはありますか?

最初は、卵胞は見えて当たり前・採卵出来て当たり前・成熟卵を採る事が”目標”でした。
しかし次は、卵胞が見えても、薬や注射が効かず採卵まで辿り着くのが難しくなり、その後そもそも卵胞が見えない事が増えました。

妊娠に向けて一歩ずつ進むどころか、後退してしまっている現実とそれに伴い私に残された時間が少なくなっているのだと身をもって体感した事が辛かったです。

スタッフ:パートナー様やご両親、友人、職場の方々との関係はどういった感じでしたか?

夫はとても理解があり、私の意見を尊重してくれます。
夫も私も、自己卵子での妊娠が難しくても他の選択肢を考える事で、あまりプレッシャーになり過ぎず治療が出来ています。

両親も同じで、孫をせかされる事もなく「あなた達夫婦の仲が良い事が1番だから。」とただただ温かく見守ってくれています。

友人には治療をしている事は話していますが、詳しい事は話していません。
実際に治療を行わないと分からない事でもあったりするので、不妊治療の話はしないようにしています。

約1年半前の他県へのクリニックの転院に伴い、仕事を退職しました。
職場の方々の理解はあり遅刻早退の許可も出ておりましたが、通院だけで往復約5時間+診察時間を考えると遅刻早退ではなく休日をもらわないと通院は難しいと考えました。
しかし通院の度に休みを頂くのはあまりにも迷惑がかかる、と考え退職しました。

スタッフ:これから不妊治療を始める方に何かアドバイスはありますか?

どんなに辛い事があっても、子どもが欲しいという気持ちがあるのなら諦めずに頑張ってほしいです。
不妊治療は、やるかやらないか。
特に私と同じ早発閉経の方はただでさえ時間がありません。悩んでいる間にタイムリミットはあっという間にきてしまいます。
どうしても辛くなったら、“ある事に目を向けて”ほしいです。
私は今不妊治療で辛い思いをしている。でも、支えてくれる夫がいて住める家があって温かい布団で毎日眠る事が出来る。
それだけでも十分幸せなはずです。
治療をしていると辛いことに目が行ってしまい、どうして私だけ…と思ってしまう事が出てくると思いますが、
今既にある幸せを噛みしめながら治療に取り組んでほしいと思います。

スタッフ:改善してほしい点などあればお願いします(例 クリニックにこうしてほしい、治療をしながらもっと自由に働ける職場がほしい等)

・不妊治療助成金をもっと増やしてほしい。
・定期健康診断に不妊症検査項目を追加してほしい。
・ブライダルチェックにAMH検査とFSH検査は必須項目にしてほしい。(無いクリニックもあると聞きました。)
・学生時代から不妊を学べる場を作ってほしい。
・クリニックでの長い待ち時間の間で何か出来る事を開催してほしい。(ヨガやカフェ、よもぎ蒸し体験など)
・治療をしながらでも働きやすい職場の斡旋をしてほしい。
・結婚情報誌に不妊症の記事を載せてほしい。(以前メッセージを送りました。結婚したら大体の人が手に取るであろう結婚情報誌に記事が載る事で、結婚をきっかけに不妊の事を知る良い機会になると思います。)

スタッフ:不妊治療の保険適用についてどう思いますか?(期待や改善点等あれば)

保険適用となり治療が行いやすくなった方はたくさんいらっしゃると思います。
しかし、私のような早発閉経だと卵胞の育ちがゆっくりで、通院回数制限がある事により途中で中止せざるを得なくなる事が多いです。

また使用できる薬も日数制限があるのは、“今周期”の患者の身体に適切な治療が出来ているとは思えません。
毎周期同じように卵胞が見えるわけではないし、ホルモン値も周期によって違うので毎回違う刺激法が必要だと思います。
≪当たり前に卵胞が見えて卵巣刺激を行うとすぐに卵胞が育つ方≫には問題はないように感じますが、(それでも移植回数に制限があるのは辛い部分ですが)
早発閉経という20代に1,000人に1人の割合・30代で100人に1人という決して少なくない患者にも目を向けていただきたいです。

スタッフ:自由回答(思うこと・お伝えしたいことをお書きください)

不妊治療を行っていらっしゃる方々に声をかけ定期的にランチ会を開いています。
これまで計11回、合計24名の方とお会いしました。(九州4回。関東4回。関西3回。)
お会いした皆さんが共通でおっしゃる事は【もっと早くから不妊の事を知っていたかった。】という事でした。
私自身も同じことを思っています。不妊症という言葉すら知りませんでした。
正しい知識があれば、遅くとも不妊症と診断された時点ですぐに治療を開始していました。
自身の無知からくるものではありますが、学生時代から“避妊”だけでなく“不妊”の事をもっと身近に聞ける場があれば。
私のように、26歳で不妊症と言われ妊娠が難しい人がいる。お金の問題ではない。病院に行ってもどうにもならない人もいる。
という事実を学生の頃に知っていれば、行動が変わっていたかもしれません。
しかし学生時代だとまだ“結婚”や“出産”にあまり現実味がなく、聞き流してしまう人も多い気がします。

社会人となり基本的には誰もが受けるであろう健康診断に、ぜひとも不妊症に関する検査項目を追加してほしいと願っています。
子どもが欲しい、欲しくないという話ではなく、自分の身体を知る事がとても大切だと思います。

私のように不妊症に悩む方が1人でも減りますように、今治療されている方が1人でも早く報われる日がきますように。
私に出来る事があればさせていただきます。よろしくお願いいたします。

インタビューにお答えいただきありがとうございました。

【不妊治療当事者様インタビュー】おかき様

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