> お知らせ > 【コラム】体外受精で広がる希望~データが示す未来への可能性~

今回は「体外受精で生まれる赤ちゃんの増加傾向とその背景」についてお話しします。

最新の統計データをもとに、現状や課題、そして今後の展望を考えたいと思います。

 

体外受精で生まれる赤ちゃんの増加

日本産科婦人科学会の最新データによれば、2022年に体外受精で生まれた赤ちゃんの数は77,206人で、前年から7,409人増加し、過去最多を更新しました。

これは、2022年の総出生数770,747人の約10人に1人が体外受精で生まれた計算になります。

 

増加の背景

体外受精による出産数が増えている背景には、以下の要因が考えられます。

①晩婚化・晩産化:結婚や出産の年齢が上昇し、自然妊娠が難しくなるケースが増えています。そのため、不妊治療を選択する夫婦が増加しています。

②不妊治療の普及と技術の進歩:体外受精の技術が向上し、成功率が上がったことで、治療を受けるハードルが下がっています。

③社会的認知の向上:体外受精に対する理解が深まり、選択肢の一つとして受け入れられるようになっています。

 

現状の課題

しかし、体外受精の増加には課題も伴います。

①治療費の負担:体外受精は高額な治療費がかかるため、経済的負担が大きいです。2022年4月から一部の不妊治療に保険が適用されましたが、全ての治療が対象ではなく、自己負担が残るケースもあります。

②年齢による成功率の低下:女性の年齢が上がると、体外受精の成功率は低下します。特に40歳を超えると、妊娠率が大きく下がるため、早めの治療開始が望まれます。

③多胎妊娠のリスク:複数の胚を移植することで、多胎妊娠のリスクが高まります。多胎妊娠は母体や胎児に負担がかかるため、学会では単一胚移植を推奨しています。

 

今後の方向性

これらの課題を踏まえ、以下の取り組みが期待されています。

①保険適用の拡大:不妊治療全般への保険適用を広げ、経済的負担を軽減することが求められます。

②早期教育と啓発活動:若い世代へのプレコンセプションケア(妊娠前ケア)の重要性を伝え、適切なライフプランニングを支援することが大切です。

③治療技術のさらなる向上:体外受精の成功率を高めるための研究開発を進め、安全で効果的な治療法を提供することが必要です。

 

体外受精による出産数の増加は、不妊に悩む多くの夫婦にとって希望の光となっています。しかし、同時に解決すべき課題も存在します。

私たちFCHは、皆さんが安心して治療を受けられるよう、最新情報の提供とサポートを続けてまいります。